【東京横丁酒場ガイド】珍来亭(吉祥寺)|至福のラーメンの〆も待つ町中華のハイスタンダード。

  • 2023.08.01

”せんべろ”や”ハシゴ酒”、”ネオ大衆酒場”などが昭和時代を知らない若者の間で流行っている今、「安くて旨い」横丁酒場が人気を集めている。吉祥寺のハモニカ横町の町中華の老舗「珍来亭」は、最古参の1つであり、家族経営、ファミリー層の来店も多い。笑顔いっぱいの店で腹を満たすのもまた一興だ。

ハモニカ横町の最古参は家族愛に溢れた町中華。

吉祥寺も地価や賃貸料が上がり、いったんは世代交代が進んだはずの、駅前のハモニカ横丁も今や虫食いだらけ。1951年創業の珍来亭は中でも最古参。3階建ての店は新しくなり、また姉妹経営らしいフェミニンなムードも漂い、若い客がよく飲みにも使う店となっている。学生バイトも代々伝手で募集し、ファミリー的な団結力も高い。こういう店は間違いない。

「土日なんか家族連れのほうが多いですからね」と、白い割烹着も板についた妹の園江さん。味重視派のぼくにとって、早い時間に飲む店はむしろそうあってほしい。子どもたちのおいしい笑顔がギョービー(餃子+ビール)をますますおいしくしてくれるからだ。

節系の出汁が効いたラーメンも、時代につれてコクを増し、さらに旨くなっていた。弛まぬ努力をさり気なく。己もそうありたいものだ。

左が現在のオーナーである姉妹のお母さん。彼女の働き姿を見て自然と珍来亭を継いだ姉妹によって、今も変わらない味が守られている

戦後から変わらぬ味を守る「珍来亭」の第定番メニュー。

創業時から、味も、ややちぢれた麺も変わらない大定番のラーメン。数十年以来のお客さんは昔のままであるこのラーメンに感動を覚える。

餃子に使うキャベツは創業時から手で千切り。なるほど、噛めばもっちりした皮に包まれた餡の中でキャベツの甘みがしっかり主張している。

DATA
珍来亭
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-1-9
TEL0422-22-3842
営業/11時半~15時、17時~21
休み/水曜

※値段など情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/別冊Lightning Vol.209TOKYOノスタルジック横丁」)