【クルマ専門店ガイド】シトロエンの旧車から最新モデルまで。|東京都品川区

日本全国にあるクルマの専門ショップ。ひとつのメーカーに特化したショップも数多く存在する。今回はそんな中でも東京都品川区の荏原で30 年以上シトロエンを取り扱う老舗ショップ、JAVEL にお邪魔した。おすすめの車両と合わせて紹介する。

ヴィンテージはもちろん新旧どちらも取り扱う、シトロエンの老舗ショップ。

品川区の中原街道沿いに、大きな看板を掲げるガラス張りの建物のJAVEL。ヴィンテージモデルを中心にシトロエンを幅広く取り扱う老舗ショップだ。DS やCX といったモデルを数多く取り扱うだけでなく、より現代的に乗るために様々な先進技術を投入するなど、独自のアプローチで旧車と向き合っている。

またC5 やC6 といったより新しいシトロエンを独自に並行輸入して販売するとともに、最新のシトロエンダイアグノーシス(故障診断機)を導入。ヴィンテージのみならず新旧シトロエンどちらも得意としている珍しいショップでもある。

ちなみに店舗1F はファクトリーとなっており、常時数台のシトロエンが日々新たな命を吹き込まれている。

代表の竹村さんは自身も普段C6に乗り、サーフィンのアシにはCXのアンビュランスを出動させるというシトロエンファン。新旧シトロエンのメカニカルから電気設備まで幅広い知識をもつ

1973 CITROEN SM

車体形状はファストバックスタイルの2ドアクーペでリアフェンダーにはタイヤハウスをカバーするスカートが備わるのが特徴。この状態は一番車高を低くしている

DSをベースに2ドア化したスタイリッシュなボディに、当時協力関係になったマセラティ製V6エンジンを搭載して`70年に登場した高性能クーペがSMだ。ちなみにSMは元来が高級車である上に、日本には134台しか正規輸入されていないと言われている。その後に並行輸入された車両がどれほどあったかは知る由もないが、現存台数はかなり少ないことが想像できる。

ここで紹介するのは、フルレストアされた車両をベースに、エンジンをより現代的なフルコン制御&ダイレクトイグニッション化した一台。ラムダセンサーと触媒も装着し、排ガスも新車当時よりクリーンという現代の道路事情にマッチした車両となっている。

エンジンは当時提携関係にあったマセラティ製の2.7リッターV型6気筒DOHCで、純正のコンピュータではなくより現代的なフルコンで制御している。またイグニッションも同時点火となる

「古いクルマだから調子が悪いとか、ガソリン臭いのを我慢するのはイヤですよね。せっかくなら、より快適に走れる方がいいと思うんです。当社ではより現代的な制御を加えることで、環境にも優しいヴィンテージシトロエンを楽しんでいただいております」

ヘッドライトやライセンスプレートはガラス製のカバーの中に設置されるという、日本車にはない独特なデザインを採用
テールランプはバンパー内に配置され、その上にライセンスプレートが備わるデザインはひと目でSMと判る意匠
ハイドロニューマチックによって車高は4段階に調整可能。一番上げた状態はこんなにも車高が高い
広い車内は革シートを採用し高級感あふれる贅沢な造り
ブルー系のメーター照明が特徴的。トランスミッションは5速マニュアルを採用している

【スペック】
全長:4893mm
全幅:1836mm
全高:1324mm
ホイールベース:2950mm
エンジン:V型6気筒DOHC
排気量:2670cc
燃料供給方式:フューエルインジェクション
駆動方式:FF
乗車定員:4名
価格:1500万円(税別)

1974 CITROEN DS23 Pallas

ヴィンテージシトロエンを語る上で避けて通れないのが、DSの存在だろう。`55年から`75年まで延べ20年間に渡って製造されたベストセラーのモデルで、ドゴール大統領も愛したまさにフランスを代表する一台だ。

空力に優れた流線型の4ドアボディは当時のフランス車としては大型で、リアシートもかなり広いのが特徴。アッパーミドル向けの大衆車としてはもちろん、タクシー、救急車などの特装車としても活躍している。

ルーフ後端にウインカーが備わるという変わったデザインで、リアフェンダーはホイールアーチがないが、整備の際は簡単にフェンダーが外れる構造となっている

DSの大きな特徴がエンジンに備わる油圧ポンプを使ってサスペンションはもちろん、パワーステアリングやパワーブレーキ、さらにはセミAT機構の動作に至るまであらゆる制御を行う「ハイドロニューマチック」という独自の油圧制御機構を搭載している点だ。スムースな乗り心地を実現するだけでなく、車高の調整も可能としている。このハイドロニューマチックはその後SMやCXなど様々な車種に引き継がれ、シトロエンの大きな特徴となっている。

この取材車両はモデル末期のDS23で、JAVELにて現在レストア作業が進行中。この後機関のオーバーホールに加えてエアコン設置、排ガス浄化装置や触媒を装着する予定だ。

ステアリングはスポークが8時の位置に来ているが、実はこれが標準。これは一説によると、事故の際に乗員を車体中心方向に逃がす役目を果たすためと言われている
フロントミッドシップに搭載されるエンジンは2.3リッターのキャブレター仕様で、縦置きに搭載され前輪を駆動する独特なレイアウトを採用する
セミATのシフトレバーはステアリングコラム上にあり、タイミングを合わせてレバーを動かすことでシフトする仕組み。その動作は独特でスムースな運転には慣れが必要

【スペック】
全長:4874mm
全幅:1803mm
全高:1470mm
ホイールベース:3125mm
エンジン:直列4気筒
排気量:2347cc
燃料供給方式:キャブレター
駆動方式:FF
乗車定員:5名
価格:1100万円(税別)

新旧シトロエンに幅広く対応。

クラシックシトロエンからC5 やC6まで新旧シトロエンを幅広く取り扱っているJAVEL。シトロエン&プジョーの国内未導入モデルの並行輸入も得意とする。

中原街道沿いにあるガラス張りの建物が目印。1Fがファクトリーとなっており、通りからも作業の様子が伺える明るい雰囲気

【DATA】
JAVEL
東京都品川区荏原2-18-10
TEL03-3784-5051
営業/9:00〜18:00
休み/月曜、第2&第4日曜、祝日
https://javel.co.jp/

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2023年4月号 Vol.348」)