戦後アメリカの若者たちに愛され、英国製のオートバイとしていまの日本では最もポピュラーな「トライアンフ」。ゴールデンエイジとされる’50 〜’60年代を中心にトライアンフの歴史を振り返りつつ、ヴィンテージ・トライアンフをひも解いてみよう。
トライアンフの「別体」と「ユニット(一体式)」とはなんのこと?
別体、ユニット(一体式)とは、トライアンフのバーチカルツインに関してエンジンとトランスミッションが一体
になっているか、別パーツとなっているかを指す言葉。
650モデルは’62年、500㏄モデルは’59年を境にそれより前のエンジンは別体、それ以降はユニットとなる。
ヴィンテージ市場では一般的に別体の方が価値が高いが、ユニットはクランクケース、ギアボックスなど強度の弱いところを一体成型にして改善しているので耐久性が高い。
別体
ユニット(一体式)
次に押さえたいフレーム構造。’70年代はフレームの中にオイルが通っている!
別体、ユニットの次に大きな変化となるのがフレームの構造。’71年からオイルインフレームを採用。車格が大きくメインチューブが太くなるため、チョッパーなどコンパクトなスタイルのベースには不向きだが、高性能ゆえに熱心なファンも少なくない。
リジッドフレーム、だけどクッション付きのオプションがある。
リジッドフレームが純正で採用されていたのは1954年まで。そして、’47年以降はハブクッションのオプションがあった。ハブクッションを装備すればリジッドフレームのラインに影響を及ぼさずに、数センチはストロークするので性能は段違いだ。
タンクエンブレムで年式を判別できる!
トライアンフの年式判別の最も大きなヒントとなるのがタンクのエンブレム。各モデル共通でエンブレムが年式で細かく分けられているので、下の4つを覚えておけば’50〜’70年代は大まかに年式を分けることができる。“ハーモニカ(英国ではマウスオルガン)” や“アイブロウ(眉毛)” など、あだ名で呼べるとさらに通っぽい。
’50~’56
’57~’65
’66~’68
’69~’79
シフト、ブレーキ操作が普通のバイクと逆!
旧いトライアンフに乗ろうと考えている人はシフトとリアブレーキの操作が日本の一般的なバイクと逆であることを覚えておくべし。
乗ればすぐに慣れるが、足の操作だけが左右逆になるので他のバイクで慣れている人は最初は戸惑うはず。とっさに止まりたい時に、右足を思いっきり踏むとシフトダウンしてロックする恐れがあるので要注意。
キャブは1個or2個。ツインキャブ化がホットロッドのセオリー。
トライアンフのバーチカルツインは主に500㏄、650㏄で分けられる。
’59年に初めてのツインキャブモデル、ボンネビルが出たことでホップアップの手法も進化した。ボンネビル以外はシングルキャブだが650㏄はボンネビルヘッドを流用してツインキャブ化することが可能。
そしてボンネビルの元がアメリカのレースでハーレーと戦っていたアメリカディレーラー独自のレーサーであることを考えると、アメリカンレーシング好きならツインキャブに萌えないはずがない。
今のヴィンテージレースに参加するトライアンフの多くがツインキャブ化されているほど、ホットロッドの手法としてはセオリーとなっている。ボンネビルは650㏄のみで、500㏄は通常のラインアップはツインキャブモデルがないので、500㏄のツインキャブカスタムはかなり通なカスタム。
教えていただいたのは・・・「トライドモーターサイクル」代表・大石崚二さん
【問い合わせ】
トライドモーターサイクル
TEL03-3653-5813
http://www.tride-mc.com/
(出典:「Lightning Vol.283」)
Text/Y.Kinpara 金原悠太 Photo/S.Ise 伊勢悟