【お手本にしたい家作り】オリジナル本棚のある、創作意欲を刺激する秘密のアーカイブルーム。

今回Lightning編集部がお邪魔したのは、「サーティーファイブサマーズ」の代表・寺本さんが所有するアーカイブルーム。都内某所にあり、そこには希少なヴィンテージクロージングから、デッドストックの生地、そして圧巻の本棚には、多くの古書が詰め込まれた空間が広がっていた。

真似したい! 雑誌のサイズに合わせたオリジナルの本棚。

ロッキーマウンテンフェザーベッドやビッグヤンクなどの実名復刻に加え、パリの名店「アナトミカ」のオリジナルも手掛ける「サーティーファイブサマーズ」の寺本さん。

各ブランドでデザインを考案する前に、必ず訪れているというのが都内某所にある秘密のアーカイブルーム。

もともとインテリアショップがあったビルなので、階段はかなり広め。このデッドスペースをうまく活用して本棚に。店舗の什器に使われていた木材を解体し、ワンオフの本棚に再生。よく見ると階段の幅に合わせている。
ここには過去何十年もの雑誌VOGUEをストック
VOGUEは、レディスのファッション誌であるが、定期的にメンズも出版している。過去の空気感を思い出すためには、この手の雑誌は欠かせないそうだ

もともとインテリアショップだったビルを丸ごと使い、ヴィンテージクロージングから歴代のファッション誌、有名メーカーやミリタリーの生地までストックされている。

こちらは最上階にあるアーカイブルームの一角。2階へアクセスするのは通常の階段であるが、それより上はらせん階段になっている。ワークからライダースまでデザイン性と希少価値の高いものがストック。実名復刻を手掛けているビッグヤンクなども並んでいた

「生地からインスピレーションを受けることが多いので、デザインを考える段階になるとこの場所に必ず籠もるようにしている。自分のもの作りは、生地を見て、こういうものを作ったらおもしろいんじゃないかと考えることから始まることがほとんど。

あとは当時の時代背景を的確に捉えたいので、旧い雑誌は欠かせない。今と違って、インターネットなど皆無な時代の雑誌は、情報の宝庫。ファッションだけでなく、プロダクトデザインなども取り上げられていて、思わぬ発見があるんだ」

ミリタリーを中心としたヴィンテージがずらりと並ぶ。アメリカはもちろんのこと、寺本さんが敬愛するフレンチなど世界中の軍モノが
フランスの海軍で1930年代頃に使われていたショールカラーのプルオーバーシャツ。アメリカだけでなく、欧州系のヴィンテージも数多く所有する

寺本さんの意欲を刺激する「アパレルアーツ」。

寺本さんが集めているのが、アメリカの紳士服の業界誌「アパレルアーツ」。アメリカを代表するデザイナーであるポール・ランドがADを務めた号を狙って収集しているそう。

紳士服の専門誌である「アパレルアーツ」の1931年の創刊号。後にメンズファッション誌「ESQUIRE」へと名前を変えていく

クリエイティブな仕事で成功している方々をこれまでにもたびたび取材してきたが、いずれもプレイべートとも仕事とも離れた、イマジネーションを刺激する空間をどこかしらに持っていることに気づく。特にクリエイティブな仕事でなくても、こんな空間があれば、ストレスから解放された、素晴らしい時間が過ごせそうだ。本棚やラックなど自宅にも活かせそうなアイデアをDIYの参考にしてみてはいかがだろうか?

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(出典/「Lightning 2018年9月号 Vol.293」)