国産初のダイバーズウオッチ「セイコーダイバーズ」の魅力と市場価値を徹底調査!

1965年の登場以来、「国産ダイバーズの雄」として君臨するセイコーダイバーズ。記念すべきファーストモデルから最新の現行コレクションにいたるまで、その飽くなき探求の歴史を紐解きながら、マーケットの動向を探る。

数多の冒険家、探検家の活動をサポートしてきた国産ダイバーズ。

19世紀の戦争を契機に、懐中時計から腕時計に需要が変わり、時計が進化の中で手にしたもの。そのひとつが「防水機能」であることに異論を挟む余地はないだろう。そして、これは腕時計の進化の歴史にも例えられるのだ。

その最前線に立つのがダイバーズウオッチであり、防水という難題を克服していく中でさまざまな物語が生まれ、時にはそれがヴィンテージ市場での付加価値へと繋がっていくのである。

1965年|国産初のダイバーズウオッチ。

記念すべきファーストモデル。コレクターの探究心をくすぐるディテールが多いことも魅力。以前から不動の人気を誇るモデルであったが、復刻モデルの発売を機に人気が上昇している

半世紀以上前の’65年、「国産初のダイバーズウオッチ」として、セイコーダイバーズは産声を上げた。150m防水というスペックは、信頼の証となり、翌年から南極観測隊越冬隊員の装備品として寄贈されるなど、数多の冒険家、探検家の活動をサポートした。多くの傑作を排出してきた歴代コレクションの中で記念碑的なモデルがいくつもある。

1968年|300m空気潜水仕様のハイビートダイバーズ。

ハイビートの自動巻きというスペックと希少性の高さから、前身のロービートのモデルとともに、 ヴィンテージ市場においてセイコーダイバーズの 最高峰に位置するモデルとして君臨する

そのひとつが、’68年に発表した国産初のハイビート(10振動)自動巻きムーブメントを搭載した300m防水ダイバーズウオッチだ。’75年登場の世界初となるチタン製ケースを採用した飽和潜水仕様600m防水ダイバーズも忘れてはならない存在だろう。

1975年|世界初のチタン製ダイバーズウオッチ。

衝撃に強い外胴プロテクター構造など、外装だけでも23件の独自技術が盛り込まれている、世界初のチタン製ダイバーズウオッチ。ヴィンテージウオッチとしても非常に人気が高い

これらのモデルが時計界へもたらした影響は絶大であり、ここでの成果によって、セイコーダイバーズが圧倒的なブランド力を勝ち得たことは言うまでもない。

近年のセイコーダイバーズの動きも見逃せない!

「セイコーウオッチ株式会社」広報宣伝部プレス担当・有馬広智さん|2012年、セイコーウオッチに入社。入社後、2年間のアフターサービス部門を経て、2014年からメンズブランドのプロモーションを担当し、多くのブランドのグラフィックやPV制作に携った。2018年度より現職

デビューから50年以上の年月が流れ、セイコーダイバーズは次なるステージへと向かっている。それについて、セイコーウオッチ広報宣伝部の有馬広智さんはこのような見解を述べている。

「機能性を追求した結果生まれたアイコニックなデザインは、近年ではファッション性の高いアイテムとしても評価され、若年層のユーザーにも支持していただいています。いつの時代もダイバーズウオッチに求められることは、防水性・視認性・耐久性など、過酷な環境における信頼性です。そこをより強固にするため、近年はスペックの向上に伴い、外装で使用する素材の進化が目ざましいですね」

2017年|セイコープロスペックス 国産ファーストダイバーズ 現代デザイン SBDC053

原点モデルを現代的な アレンジでリメイク。シャープなケースの形状や、スマートデザインで現代的に甦ったファーストモデルの勇姿に注目。自動巻き/ステンレススチールケース/ 42.6㎜/200m空気潜水用防水

言うまでもないことだが、タフネスの象徴であるダイバーズウオッチも時代によって、少なからずニーズに変化が生まれてくる。プロフェッショナルとファッション層、そのどちらにも認められるダブルスタンダードとしての条件を満たしていることが、セイコーダイバーズが長年培ってきた魅力なのである。

2019年|セイコー プロスペックス LXライン SBDB027

セイコースポーツの頂点に立つ、1968年発表のハイビートダイバーズのデザインコードを踏襲しつつも、現代的な仕様で再構築したハイエンドなコレクション。スプリングドライブ/チタンケース/44.8㎜/300m飽和潜水用防水

「この先も変わらず、ダイバーズに求められる信頼性を高めるためには、最新のテクノロジーと素材によって、常に進化の可能性を探し続けることが重要です。同時に、時代のニーズを捉えたデザイン面でのバリエーションの拡充を図っていく必要があると考えています」

【問い合わせ】
セイコーウオッチお客様相談室
TEL0120-061-012
https://www.seikowatches.com/jp-ja

セイコーダイバーズの市場価値を知る!

「もしも時計博物館に売店があったら」というユニークなコンセプトを持つ、1999年に開業したヴィンテージウオッチ専門店BQの本田義彦氏の協力のもと、セイコーダイバーズの歴代コレクションから注目モデルを紹介しよう。

1968年|国産初ダイバーズに続く150m防水の2ndモデル(前期型)

1965年の国産初のダイバーズウオッチに続く150mダイバーズウオッチとして誕生。こちらは前期にあたる。後期モデルと比べると価格はやや落ち着いているとのこと。近未来的な流線フォルムが多くの人々を惹きつける。20万円前後。

1970年|国産初ダイバーズに続く150m防水の2ndモデル(後期型)

植村モデルとして絶大な人気を誇る傑作ダイバーズ。冒険家の植村直己氏が北極圏の旅に携行していたことで知ら
れる1本。抜群の知名度に比例して人気が高い。近年復刻モデルが登場し目下注目度が上昇中。25〜30万円前後

1976年|150m防水の3rdモデル通称「タートル」

世界中に多くのファンを持つ1976年発売の150m防水3rdモデル。価格帯は10〜15万円前後。国内モデル/海外モデルが存在し、ヴィンテージ市場では人気・価格ともに前者が若干上回る。

1978年|世界初のクオーツ式ダイバーズウオッチ

圧倒的な耐圧性能を実証したアイコンウオッチ。1978年に日本大学隊および植村直己氏が北極探検に使用したこ
とで知られている、世界初のクオーツ式ムーブメントを搭載した600m飽和潜水仕様のダイバーズウオッチ。15〜20万円前後。

1982年世界初のハイブリッド表示式ダイバーズウオッチ。

時代背景が映し出す、アナログ+デジタルの融合。アラーム、クロノグラフ、そしてカレンダーの便利な機能を備え、液晶表示を12時位置に傾斜させて読みやすくした、アナログ+デジタルのハイブリッドウオッチ。7万5000〜10万円前後。

1986年|世界初のセラミックス外胴プロテクター式ダイバーズ

タフネスを極めた外胴ダイバーズの傑作。外胴プロテクターにセラミックス素材を採用。軽量かつ耐食性に優れたチタン製ケースは、防水性に優れるワンピース構造で堅牢性を高めており、1000m防水を誇る。15〜20万円前後。

【問い合わせ】
BQ
広島県広島市西区観音町3-17
http://www.bq-watch.jp/

※ 掲載されているヴィンテージモデルについては、メーカー修理を受け付けていない可能性があります。

(出典/「Lightning 2019年7月号 Vol.303」)