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クック船長は働き者。来日スケジュールを追ってみた

2025年9月23日〜26日の4日間、アップルのティム・クックCEOが来日した。巨大な宇宙船のようなリング状のApple Parkを擁するアップルの代表として、彼はファンにはクック船長と呼ばれる。前回の来日は2022年12月で熊本などを歴訪。その前は2019年12月、2016年10月と、ほぼ3年ごとに来日していることが分かる。今回、筆者は取材として5カ所でご一緒したのだが、クックCEOの投稿などを見ていると、それ以外にも数多くの場所を訪れていることが分かる。公開されている範囲で、クックCEOの来日時の予定を追ってみよう。

到着直後に、Apple銀座前で、Number_iとセルフィー

まず、来日後、最初の投稿はこちら。

26日にリニューアルオープンしたApple銀座をはじめとしたApple Storeで、Number_iの最新アルバム『未確認領域』のメイキング動画が、Apple Vision Proの空間動画で楽しめるのだが、そのプロモーションとして、Apple銀座の前でNumber_iとクックCEOが一緒にいるシーンが投稿された。

24日は、政府関係者やコンテンツデベロッパーと

続いて、24日。朝から岸田文雄元首相や、林芳正官房長官、平将明デジタル大臣と面会している。

投稿ではマイナンバーカードのiPhoneでの連携について話したと書かれているが、クックCEOからは、スマホ新法の運用で、iPhoneの機能に制限がかかったり、プライバシーやセキュリティ機能に悪影響を及ぼしたりしないように要望があったであろうことは想像に難くない。

「日本にはEUの轍を踏んで欲しくない」アップルSVPのJoz氏が語る【インタビュー】

「日本にはEUの轍を踏んで欲しくない」アップルSVPのJoz氏が語る【インタビュー】

2025年10月17日

続いて、この投稿によるとポケモンに会いに行っている……つまり株式会社ポケモンを訪問。こちらはアップルジャパンと同じ六本木ヒルズにあるので、移動は容易かも。最初の政府関係者を訪問した時には黒のスーツ姿だったが、ここではポロシャツに着替えている。

そして、これは筆者も取材に行ったのだが、バンダイナムコで『ドラゴンボール ゲキシン スクアドラ』のプレイを観覧。バンダイナムコエンターテインメント代表取締役社長の宇田川南欧氏とも会談を持った。ちなみに、筆者はこの日の午前中は、Apple銀座の内覧会に行っていた。つまり、アップル広報チームはメディアやインフルエンサー向けの内覧会と、クック氏の政府関係者との対談などを二正面作戦で回していたことになる。大変……。

続いて、アップルジャパンで、日本のアプリデベロッパーと歓談。

アップルCEOティム・クック氏が、日本のアプリ開発者と懇親

アップルCEOティム・クック氏が、日本のアプリ開発者と懇親

2025年10月17日

ここで、歓談したデベロッパーはそれぞれ、Amemil(アメミル)、怪獣8号、LINE スタンプメーカー、KaruQの開発者の方々。

ちなみに、バンダイナムコでの取材の時は、クックCEOは「Nice to meet you !」と握手してくれたのだが、デベロッパーさん取材の時は「Nice to meet you ,again !」と言ってくれたから、赤い髪の日本のメディアとして記憶されたようだ(この後も、againは続くが)。

先の動画を見る限りでは、都内で食べ歩きなども楽しんだようだ。

インフルエンサーと会った後に、Apple YTCに向かった25日

この日、筆者は午前は別件の取材に行っていて、午後のApple YTCの取材でご一緒したので、午前中は何をされていたのかは知らない。

Xの投稿を見ると、AKIYAさんと日枝神社に行ったりされたようだ。いや、クックCEOの服装からするとこれは、初日の政府関係者と会う前後……と思った方が理に適っているような気がする。

AKIYAさんの投稿はこちら。

Apple Storeにおけるガジェットモさんなど、複数のインタビューに答えていたのもこのタイミングかと思われる。

ガジェットモさんの投稿『AppleのCEO Tim Cookにインタビューしてきた!』はこちら。

今、クックCEO自身がどのiPhoneを使っているかなど、なかなか面白い質問があって必見。

また、アップル本社カフェエリアでの集合写真も投稿されており、こちらもこの日の昼間に撮影したと思われる。

その後、午後後半、Apple YTC(横浜テクニカルセンター)に移動して、日本の4社のサプライヤーのプレゼンテーションを聞く。

アップルCEOティム・クック、日本の拠点であるApple YTC(横浜テクニカルセンター)を訪問

アップルCEOティム・クック、日本の拠点であるApple YTC(横浜テクニカルセンター)を訪問

2025年10月17日

ここは筆者も同席したのだが、ソニーセミコンダクタソリューションズ、京セラ、AGC、TDKの4社の役員はじめ、錚々たる面々が居並び、iPhoneに使われている自社のパーツの品質の高さ、優位性などを説明した。

4社が各15分ぐらい。さらに質問などもあり1時間半ぐらいはここにいたのだが、時折質問を交えながら、ずっと立ちっぱなしだったのに、クックCEOは常に背筋を伸ばし、笑顔で対応されていたのが印象的だった。「アップルと日本は、似ている。どちらも美しいデザインが大好きで、モノづくりの過程で、常に満足せずに次のことに取り組んでいる。その二者が協力することで、さらに素晴らしいものが生まれると思っています」という言葉も印象的だった。

この場所での取材については、また改めて詳しくレポートしたいと思っている。

Apple銀座オープンから、新店舗アップル梅田にも登場の26日

翌、26日の午前中は、もちろんApple銀座のリニューアルオープン。

10時のカウントダウンとともに、リテール担当のディアドラ・オブライエンSVPと一緒にドアを開いた。

驚いたのは、クックCEOの人気。もうスーパースターといった風情で、つねに多くの人が、一緒にセルフィーを撮りたがり、サインを求めていた。クックCEOはそのすべてに笑顔で応えていたのが印象的。見ている限りではクックCEOが断ることはなく、やむなく移動の時には周りのスタッフが制止し、クックCEOを移動させていた。

(思えば、このセルフィーという文化自体アップルが作ったようなものだが)

考えてみたら、アップルファンにとっては一生に一度かもしれないCEOと一緒にセルフィーを撮るチャンス。クックCEOもそれを分かっているから、絶対に断ることはしないのだろう。

それにしても、四六時中、大勢の人にサインを求められ、人にもみくちゃにされ続けるというのはどういう気分だろう……。大変だと思うのに、ずっと笑顔なのが本当にすごいと思った。

筆者は続いて、Apple梅田の取材に向かうため、Apple銀座をそっと抜け出し、新幹線に乗る。クックCEOもおそらくそうしていたはずだ……と思っていた。

しかし、クックCEOが次に現れたのはなんと、京都の御所東小学校。筆者が大阪への移動だけでも大変だなぁ……と思っているのに、なんとその間に京都の小学校に立ち寄っているのだ。

実は、京都市はGIGAスクール構想第1期ではWindows端末を導入していた。しかし、GIGAスクール構想第2期からはiPadに切り換え、225校の小学校・中学校・総合支援校に約9万5000台のiPadを導入している。

新しくオープンしたばかりの大阪のApple梅田では、Swift Student Challenge 2024の入賞者3人が大学生に向けてToday at Appleを行っている……というところにクックCEOが登場というサプライズ仕立て。しかし、スケジュールが押してクックCEOの登場は遅れ、事情を知っている人だけがそわそわして待ち続けるという奇妙な時間が流れた。

そして、クックCEO登場。

まさに、場内は騒然……という状態になった。セルフィーをお願いするのに、より積極的なところは、大阪という土地柄かもしれない。

また世界的に活躍するファションデザイナーの細川雄太氏との対談も行われた。氏はデザインにiPadを使っているという。

突然の来訪だったせいか、より大勢の人がセルフィーやサインを求める大混乱の中、クックCEOは退出。

これでやっと帰国かと思いきや、元阪神タイガースの秋山拓巳さんの投稿によると、甲子園で阪神戦を見たそうである。

Apple梅田への到着が渋滞で押したので「このあとに組まれていたタコ焼きの予定がキャンセルされたらしい」とは聞いていたのだが、動画を見る限りでは、無事タコ焼きも食べはったらしい。良かった良かった。

このハードスケジュールの中、常に笑顔で対応するクックCEOに感激!

このタイトなスジュールの段取りをしたスタッフの方はとにかく大変だったと思う。我々メディアや、インフルエンサーへの連絡も、それぞれ緻密にていねいにされていた。もちろん、セキュリティの都合もあって、誰が来るかは明確にされないから、「あの方が来日する」「アップルのわりと偉い人が……」みたいな、回りくどい連絡になるので、とにかく混乱しがち。

小国どころか、大国の国家元首にも相当する影響力のある人だから、警備の手配も大変に違いない。

iPhone発表直後、Apple銀座オープンという状況の中、このビッグイベントの運営をした『中の人』には、「本当にお疲れさまでした」と言いたい。

とにかく、このスケジュール、押し寄せる人の波の中でも、常に背筋を伸ばして、笑顔で対応を続けるクックCEOに本当に感動した。すごい人だと思う。

クックCEOのすごさを思い知った3日間

14年前、カリスマ的なCEOであるスティーブ・ジョブズの後任として、彼に押し寄せたプレッシャーはものすごいものだったのだろう。

「ジョブズがいなくなったら、アップルはもうダメだ」みたいなことを言う人もたくさんいた。

しかし、そもそも、ジョブズ時代のアップルの背骨を支えていたのもクックCEOであったと聞く。世界中のサプライヤーの納期をタイトにし、物流を整理。年間約2億台のiPhoneを生産するアップルだから、1日部品を置いておくだけで、その費用負担は膨大なもにになる。そのためにオンデマンドで部品が発注、生産され、組み立てられて出荷するロジスティックが構築された。そういった、生産、物流コストを圧縮し、現在のアップルの経営基盤を作ったのはクックCEOだ。

ジョブズがいなくなったらダメ……どころか、アップルの時価総額はその間に10倍以上になった。

また、同性愛者を公表しLGBTQを支援する姿勢を見せ、気候変動を押しとどめようと膨大な資金を投入するリベラリストでありながら、トランプ大統領や、習近平氏とも笑顔でコミュニケーションできる懐の深い人でもある。

取材で何度か話が出来た今回は、クックCEOの凄さを思い知らされた。

帰りの飛行機でぐらいグッスリ休んでいただければと思うのだが、彼のことだから全世界の部下から来るメールに目を通し、返信を書いているのだろうなぁ……。

次の来日は2028年になるのだろうか? 楽しみだ。

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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