書類、名刺、レシートなどすべてデータ化 リモートワークの必需品 ScanSnap iX2500

モバイルバッテリーで一番大事なこと——回収に出したアンカーのバッテリーが帰ってきた!

Ankerのリコールに出していたバッテリーが帰ってきた。自分の持ってるバッテリーがリコールかかることなんてあまりないので、その一件をレポート。

Ankerバッテリー4製品自主回収のお知らせ
https://corp.ankerjapan.com/posts/555

リチウムポリマーバッテリーは安全なものではない

リコールに引っかかったのは、筆者が一番お気に入りで、使用頻度の高いAnker Power Bank(10000mAh, 22.5W)。ケーブルがストラップとして使えるタイプ。一度、ケーブルを紛失してしまったがメルカリで探して1800円で買ったというほどのお気に入り(部品としてはAnkerは販売していない)。1万mAhもあるのに薄いからポケットに入れやすいのがありがたい。

6月26日に、お詫びと自主回収という形で告知がでた。セル製造サプライヤーが不適切な部品部材を使っていたことが判明し、すべてを回収交換することにしたということ。

そもそも、リチウムポリマーバッテリーというのは安全なものではない。

筆者は、20年ほど前に、リチウムポリマーバッテリーが日本に入り始めた頃に、ラジコン飛行機の雑誌をやっていた。危険だが、軽量でエネルギー密度の高いリチウムポリマーバッテリーを率先して使い始めたのがラジコン飛行機フライヤーだった。

従来の、ニッカドやニッケル水素バッテリーだと、パワーあたりの重量が重過ぎて飛ばなかったラジコン飛行機が、リチウムポリマーバッテリーを使うことで飛ぶようになったのだ。これは革命的なことだった。

しかし、当時のリチウムポリマーバッテリーは非常によく燃えた。知人に家を燃やした人もクルマを燃やした人もいる。その頃は、制御回路のない、裸のセルのリチウムバッテリーだったので、自分で電圧と電流を設定して充電していた。

当時、筆者が作っていたラジコン飛行機雑誌『RCエアワールド』の2004年2月号。

設定電圧や電流を間違えると燃える。負荷がかかり過ぎる(電流が流れ過ぎる)モーターを使うと燃える。工具箱のドライバーが刺さったりすると燃える。いろんなシチュエーションですぐ燃えるので、使用には本当に気を遣った。

その後、セルに使われる媒体や、制御回路が燃えにくいように改善されて、さらに制御回路が充放電電流を制御するようになって、安心して使えるようになった。

とはいえ、大きなエネルギーを秘めているわけだから、使い方を誤ると危険であることに変わりはない。その危険なものを、安全に使えるように工夫されているのが、現在のモバイルバッテリーというわけだ。

Ankerが支払ったコストを推測して、決意の重さを感じる

それだけに、今回の『規格に満たない製品があったら、全品回収、新品交換』という姿勢は本当に素晴らしいと思った。

これが危険なものを安全に扱う決意のあるメーカーの姿勢というものである。目をつぶって事故が起こらないことを祈る企業も多いと思うが、Ankerは目を見開いて回収を決意したのである。これができる企業がどのぐらいあるだろうか?

今回の回収でも、製品の不良を告知して、対象製品を使っている人のところに回収用の封筒と、難燃フィルムを送り、製品を返送してもらって、確認して新品を送る……という作業が発生しているのだから、おそらくは1点あたり5000〜1万円のコストがかかってるだろう(筆者の勝手な推測だが)、となると1万個売れていれば1億円かかる。Anker Power Bank(10000mAh, 22.5W)の販売数は公開されていないが、前モデルのAnker PowerCore 10000は全世界で600万個売れたとのこと( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000494.000016775.html?utm_source=chatgpt.com )だから、少なくとも数十万個、多ければ数百万個は売れているということになる。つまり、この回収は想像するのも恐ろしいほどの経済的衝撃をAnkerに与えていると推測できる。

それでも、安全と信頼を損なわないために回収を決断したAnker経営陣は本当に素晴らしいと思う。彼らは、バッテリービジネスにおいて、安全性を維持することがいかに大切なのか理解しているのである。

スムーズで、快適な回収の段取り

回収の段取りについて、体験をお伝えしよう。

まず、製品をチェックして、回収対象品であることを確認する。

シリアルナンバーが消えかけていて苦労したが、ルーペなどを使ってなんとか確認。筆者の持っていたAnker Power Bank(10000mAh, 22.5W)は回収対象だったので、Ankerのサイトから回収を依頼する。

すると、レターパックの封筒と難燃性ポリエステルフィルムが送られてきた。これに入れて、送付する。

筆者が送ったのは7月8日だったが、およそ1週間ほどで新しいバッテリーが送られてきた。

筆者としては、お気に入りのAnker Power Bank(10000mAh, 22.5W)が手元に帰ってきて非常に嬉しい。また、これで日々、持ち歩ける。

また、それ以上にAnkerの安全性に対する決意の重さを感じることができて良かった。これからも安心してAnkerのバッテリーを使えるし、読者の皆さんにお勧めできる。こんなに嬉しいことはない。

Ankerのバッテリーを持っていて、まだ確認していない人は、ぜひ確認して回収にご協力いただきたい。

Ankerバッテリー4製品自主回収のお知らせ
https://corp.ankerjapan.com/posts/555

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
この記事を書いた人

村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

【Willis & Geiger×2nd別注】ミリタリーとサファリが香るアーバンアウトドアウエア

  • 2025.09.17

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 90年代のアーカイブをデザインソースに、上品さを加えてアップデート。ウールメルトンジャケット[メトロ ウォーカー] ...

Pick Up おすすめ記事

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

【BIG SMITH×2nd別注】米軍の名作バッグをデニムで再構築! 経年変化が楽しめるデニムのエプロンバッグ。

  • 2025.09.22

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! BIG SMITH × 2nd ワーカーズエプロンバッグ 1940年代のアメリカン・レッドクロス(米国赤十字社)が製...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...