万年筆のペン先に刻まれた文字の意味とは? その読み方を解説!

ペン先には、万年筆を選ぶ時の注目すべきポイントが集中している。先端にあるペンポイントの大きさで筆記する線の字幅はほぼ決まり、ペン先全体の形は筆記する時に感じる書き味に影響を与える。またペン先の刻印には、ペン先に関する大切な情報が含まれており、ここを読み解くことができれば万年筆との距離がグッと近くなることだろう。そこで、ペン先に刻まれた文字の示すものが何かを解説しよう。

刻印が示すのは、「ブランド」「字幅」、そして「金の含有量」。

こちらのモンブランの万年筆を例にまずは何が書かれているのかを紹介する。

一番最初に目に飛び込んでくるのが中央のマーク。これはブランドを表す刻印だ。ほとんどのペン先にはロゴマークやブランド名などの象徴的な刻印が入っている。ロジウムなどのメッキを加えることで金銀のバイカラー(2色)や銀色にデザインされていることも多い。限定モデルなどでは特別な文字や数字が彫られることもある。

そして刻印の下に刻まれた数字や文字にも注目。ペン先の素材は、金(ゴールド)とスチールに大きく分けられるが、金ペン先には金の含有量を表す数字や文字が刻まれていることも多い。字幅を示すアルファベットも刻印されている場合があり、そのほかペン先の側面やペン芯に明示してあることもある。

金ペンを表す主な表示の意味を解説!

多くの金ペン先では、金ペンであることを表し、さらに金の含有率を表す数字や記号を刻印している。KやCのアルファベットは単位で「カラット」の頭文字を表す。今度はペリカンのペン先で見ていこう。上記モンブランのペン先でも合わせて見てみると、デザインは違うが同じ項目であることが一目瞭然だ。

左の2桁の数字は金の含有量を示す。100%の金を24金とした場合に、割合を示す数字を使っている。

  • 14・・・24分率で14の割合(約58.5%)で金が含まれていることを示す。金ペン先で標準的な含有率だ。
  • 18・・・24分率で18の割合(約75.0%)で金が含まれていることを示す。高級なモデルに多く採用されている。
  • 21・・・24分率で21の割合(約87.5%)で金が含まれていることを示す。セーラー万年筆の高級モデルが採用。

続くKやCは「カラット」の頭文字で金の純度を24分率で表す。KとCの意味は同じ。

  • C・・・Carat(カラット)の頭文字。本来は宝石の重さの単位だが、「K」の代用として使われていた時代がある。同じメーカーでもKとCが製造時期によって混在している場合もある。
  • K・・・Karat(カラット)の頭文字を表す。100%の純金を24カラットとして、金の含有度を示す単位。

最後の3桁の数字は金の含有量を百分率(パーセント)で表している。刻印していないペン先も多い。

  • 585・・・14 金ペン先の、金の含有量である「58.5%」を表している。14Kと併記されることが多い。
  • 750・・・18 金ペン先の、金の含有量である「75.0%」を表している。18Kと併記されることが多い。

ちなみに一番したに刻まれている「M」は字幅のことで、下記の通り。

  • F・・・Fine・細字
  • M・・・Medium・中字
  • B・・・Broad・太字

これでペン先からどんなブランドのどんな素材のどんな字幅の万年筆かを読み解くことができるようになったはずだ。もし実家の机の引き出しや、海外の蚤の市で見かけたときに、どんな歴史のあるものかも判断できるだろう。ぜひ挑戦してみてほしい。

(出典/「趣味の文具箱特別編集 万年筆とインク入門」)

この記事を書いた人
趣味の文具箱 編集部
この記事を書いた人

趣味の文具箱 編集部

文房具の魅力を伝える季刊誌

「趣味の文具箱」は手で書くことの楽しさ、書く道具としての文房具の魅力を発信している季刊雑誌。年に4回(3・6・9・12月)発刊。万年筆、手帳、インク、ガラスペンなど、文具好きの文具愛を満たす特集を毎号お届けしています。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

Pick Up おすすめ記事

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...