【名作ローファーブランド図鑑】ローファーの元祖として誕生したアイビールックのアイコン「G.H.BASS」のラーソン

トラッドスタイルにおけるマストアイテムとして欠かすことのできないローファー。1930年代に誕生し、いまでは世界各国様々なブランドがこの形の靴をリリースしている。そんな数あるローファーにおいて、2ndが考える名作の中の名作を厳選した。今回紹介するのは「G.H.BASS」のラーソンだ。

「G.H.BASS」のLARSON(ラーソン)

“ローファー”というトラッドスタイルにおいて欠かせないプロダクトをこの世に生み出した「ジーエイチバス」。1936年に[ウィージャンズ]という最初のモデルを発表し、アイビースタイルのアイコンとして世界中にその名を轟かせた。2nd的視点から、最初のモデルから派生して生まれたと推測されるビーフロールのデザインが特徴的な[ラーソン]を名作として挙げる。

1876年に創業した米国の老舗「ジーエイチバス」の代表モデル[ラーソン]。マッケイ製法によるスマートなルックスとアイコニックなビーフロールのデザインが特徴的なアイビースタイルの定番だ。ジョン・F・ケネディやマイケル・ジャクソン、グレース・ケリーやポール・ニューマンなど名だたる著名人に愛された[ウィージャンズ]を原型とする。3万9600円(ジーエイチバス トウキョウTEL03-5843-0777)

ラーソンが名作たる5つの理由

ローファーの元祖

今日におけるローファーの元祖といわれるモデルを生み出したのが「ジーエイチバス」だ。1936年にノルウェーで履かれていたモカシンスリッポンを由来とした[Weejuns(ウィージャンズ)]を発表。それまでにもアウトドア用のモカシンシューズの製造や米軍への航空ブーツの納入などの実績を誇った同ブランドだが、この[ウィージャンズ]の大ヒットにより、その名を世に知らしめたのだ。

アイビールックの象徴的存在

我が国におけるアイビー全盛期を知る多くの業界人が「アイビーの足元といえばG.H.BASS」と口にする。無駄のないデザインや履き心地の良さ、リーズナブルな価格設定がその要因だろう。1950年代のアメリカでは、学生たちの間でサドルの切れ込みに1セント硬貨(ペニー)を挟むことが流行していたこともあり、総称として「ペニーローファー」が定着。この1セントは緊急用としてや、女性をナンパした際に電話番号と一緒に渡すためという説も。

アイコニックなビーフロール

ビーフロールとは、サドルの両端が糸で巻かれたローストビーフのようにみえることから名付けられたディテール。元来はサドルの補強のための意匠であるが、これこそが[ラーソン]を象徴するディテールである。[ウィージャンズ]が生まれた当初は、ビーフロールのないデザインであったため、あるタイミングから枝分かれし、このビーフロールありのモデルが生まれたと推測される。

名だたる著名人が愛用

「ジーエイチバス」の[ウィージャンズ]を語るうえで欠かすことのできないのが、数々の著名人に愛用されていたという事実だ。アイビールックのアイコンであるジョン・F・ケネディやマイケル・ジャクソンがその代表格。マイケル・ジャクソンがはじめてムーンウォークを披露した際に驚いたインタビュアーが「その靴に何か秘密があるのではないですか?」と質問すると「ただのG.H.BASSだよ」と応えたという逸話も残っている。

マッケイ製法による返りの良さ

ヴァンプの内側でインソールのアウトラインに沿うようにアッパーとアウトソールを直接縫い付けるマッケイ製法を採用。最小限のパーツで作られているため、足馴染みと返りの良さを実現し、スマートなルックスを演出している。いわゆる高級紳士靴ではなく、学生でも気軽に履くことのできる“ちょうど良い”スペックが魅力だ。世界中に数あるローファーのなかでも比較的安価である点も見逃せない。世界的スターから学生まで幅広い層に愛され続けるのも納得だ。

(出典/「2nd 2025年6月号 Vol.212」)

この記事を書いた人
みなみ188
この記事を書いた人

みなみ188

ヤングTRADマン

1998年生まれ、兵庫県育ちの関西人。前職はスポーツ紙記者で身長は188cm(25歳になってようやく成長が止まった)。小中高とサッカーに熱中し、私服もほぼジャージだったが、大学時代に某アメトラブランドの販売員のアルバイトを始めたことでファッションに興味を持つように。雑誌やSNS、街中でイケてるコーディネイトを見た時に喜びを感じる。元々はドレスファッションが好みだったが、編集部に入ってからは様々なスタイルに触れるなかで自分らしいスタイルを模索中。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

【BIG SMITH×2nd別注】米軍の名作バッグをデニムで再構築! 経年変化が楽しめるデニムのエプロンバッグ。

  • 2025.09.22

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! BIG SMITH × 2nd ワーカーズエプロンバッグ 1940年代のアメリカン・レッドクロス(米国赤十字社)が製...

【Willis & Geiger×2nd別注】ミリタリーとサファリが香るアーバンアウトドアウエア

  • 2025.09.17

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 90年代のアーカイブをデザインソースに、上品さを加えてアップデート。ウールメルトンジャケット[メトロ ウォーカー] ...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

Pick Up おすすめ記事

【BIG SMITH×2nd別注】米軍の名作バッグをデニムで再構築! 経年変化が楽しめるデニムのエプロンバッグ。

  • 2025.09.22

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! BIG SMITH × 2nd ワーカーズエプロンバッグ 1940年代のアメリカン・レッドクロス(米国赤十字社)が製...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

【Willis & Geiger×2nd別注】ミリタリーとサファリが香るアーバンアウトドアウエア

  • 2025.09.17

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 90年代のアーカイブをデザインソースに、上品さを加えてアップデート。ウールメルトンジャケット[メトロ ウォーカー] ...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...