本家の名を継承する「アイヴァン」。80年代のデザインを継承したサーモントブロウタイプに注目。

ファッションアイウエアの礎を築き、いまも第一線に立つアイヴァンブランド。なかでも服好きから支持を受ける「アイヴァン 7285」と「アイヴァン」はモダンとヘリテージという、異なるコンセプトを持つことで双方の存在をより際立たせている。

ゆるぎない歴史の上でこそ活かされる様々な一手。

技術、デザインどちらにおいても圧倒的なレベルで世界をリードする日本のファッションアイウエアシーン。その発端といわれているのが、1972年設立のアイヴァンである。

それまでメガネは単なる視力矯正器具としか捉えられていなかったが、「これからメガネはTPOに合わせて着替えるものになる」と、当時アイビーブームで一世を風靡していたヴァンヂャケットと手を組むことで同ブランドが誕生した。

その先見は見事に的中。完全にファッションへと舵を切った先鋭的なビジュアル宣伝も功を奏して、メガネを装飾品として楽しむ潮流を見事作り出したのだった。

メガネ[DD14-T]5万3900円/アイヴァン(アイヴァン 東京ギャラリーTEL03-3409-1972)、プルオーバーBDシャツ3 万4650 円/インディビジュアライズドシャツ、ニットタイ1 万8700 円/インディビジュアライズドアクセサリーズ(ともにメイデン・カンパニーTEL03-5410-9777)、パンツ3 万6300 円/タンジェントTEL050-5218-3859、ローファー8 万4700 円/パラブーツ(パラブーツ青山店TEL03-5766-6688)

いまでは、5つのブランドへと派生し、さらに幅広いTPOに向けたプロダクトを提案するアイヴァンブランド。そのなかでも服好きから信頼を集める「アイヴァン 7285」と「アイヴァン」は、どちらも往年のアーカイブやクラシックな名作アイウエアをデザインソースとしながら、全く異なるコンセプトを持たせることで、“似て非なる”存在価値を浮き彫りにしている。

本家の名を継承する「アイヴァン」はよりヘリテージな意匠を重んじるモデルが際立ったコレクションとなった。特に今季注目となるのが、新作のサーモントブロウタイプ。同ブランドの80年代に存在したアーカイブを継承したデザインはあえて現代的にアレンジを加えず、そのまま表現していることに、アメリカントラッドファンは大いに共感する。

掛け心地をよくするためのテンプルの形状の修正や、メタル部分をチタン素材に変更するなどの最低限のアップデートがアイヴァンならではのこだわりなのだ。今回は「アイヴァン」をピックアップして紹介する。

維持するヘリテージ。進化するモダン。鯖江の卓越した職人技術を感じられる「アイヴァン 7285」。

2023年07月14日

EYEVAN

1972年設立の日本初となるファッションアイウエアブランドの名を冠し、2018年にリブランディングを経て再始動。自社アーカイブを見直し、現代的なアレンジは極力抑え、あえてクラシックを重んじる姿勢にアメトラ派はより強いシンパシーを感じる。

アイヴァンのアイコンのひとつであるコンビネーションフレームの新作[E-0512]。60年代後半にジョン・レノンが着用していた軍支給品のラウンドフレームを着想源に、80年代アイヴァンが製作したブリッジデザインを融合した。4万4000円
1930年代にアメリカで一世を風靡したフルヴューデザインをヨーロピアンなクラウンパントシェイプでアレンジした[JOHN B]。ミニマルなブロー智とテンプルを美しい彫金が彩る。今季はより強い印象のイエローゴールドにも注目。4万4000円
いま改めて注目を集めるサーモントブロウタイプは、80 年代に同ブランドが製作したモデルを雛形にアップデートした[DD-14T]。リム両端のカシメやブリッジ部分のメタルパーツは当時を忠実に再現しながら、全体のバランスを整えることで古臭さを感じさせない

【問い合わせ】
EYEVAN Tokyo Gallery
東京都港区南青山5-13-2
TEL03-3409-1972
営業/11:00 〜20:00
休み/火曜
https://eyevaneyewear.com/

(出典/「2nd 2023年9月号 Vol.198」)