世界中から来店する「スニーカー屋」。
手持ちのスニーカーの中で「いつどこで買ったか」を思い出せる靴は何足あるだろう。革靴の場合、ことに名作と誉れ高い紳士靴の場合は、大抵これがすぐに思い起こせるはずだ。これは単に値が張ることと、店頭で入念に試着してからという、買い物のプロセスにも起因していると思う。要は「靴を買う」という行為を、忘れ得ぬ体験まで落とし込めるかどうかで、思い入れの深さが変わってくるということ。
スニーカー好きにとって「ミタで買う」という行為は、まさしく特別な体験に成り得る。ルーツは創立者・三田耕三郎氏が50〜60年前に東京都文京区の根津で構えていた、下駄や草履の販売店まで遡る。紆余曲折を経て92年に現在の上野・アメ横に場所を移し、「ミタスニーカーズ」として門出を切ると、一躍人気店となった。
今では世界屈指の名店として、国境を越えて詣でる信者も後を絶たない。店頭を一部の売れ筋ブランドのみで固めるのではなく、取り扱っている約30のブランドをほぼすべて陳列するという手法からは、国井さん言うところの「スニーカー屋」としての気概も感じる。流行を追って「点」としても、思い出に残る「線」としても買うことができる店は、存外に少ない。
上野らしさが息づく別注も名物。
WHIZLIMITED×mita sneakers Converse ALL STAR US HI WL MS
国井さんのディレクションによって上野らしさが盛り込まれるコラボや別注品も同店の名物。プーマの「ディスク ブレイズ OG」を白黒のパンダカラーにしたもの。2万2000円
PUMA×mita sneakers DISC BLAZE OG MS “UENO PANDA”
「ウィズ リミテッド」との共作で、オールスターを異素材で構成したパッチワーク状のアッパーやセンタージップなど、独自の意匠が光る。2万2000円。(替え紐つき)。
【DATA】
mita sneakers
東京都台東区上野4-7-8 アメ横センタービル2F&1F路面店
TEL03-3832-8346
営業:11:00~19:30(土・日・祝は10:00~)
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「2nd 2023年6月号 Vol.195」)
Photo/Yoshika Amino, Yuta Okuyama Text/Masato Kurosawa