アーミーツイルとJ.S.レリュームが導き出した、アーバンミリタリーの最適解。

アーミーツイルのデザイナー多田周平さんとジャーナル スタンダード レリュームのMD山口純平さんは共に35歳。専用の別注タグが存在するほどブランドスタートから毎シーズンの別注作りで密に交わる気の置けない二人の語りで、「アーミーツイル」のいまを追う。

「アーミーツイル」デザイナー・多田周平さん|2020年春夏よりスタートしたアーミーツイル。デザインはもちろん生産管理から卸先の窓口までとブランドの すべてを担っており、多忙な日々を送る
「ジャーナルスタンダード レリューム」MD・山口純平さん|ジャーナル スタンダ ードのショップスタッフ、MDを経て2年前より現職。アーミーツイルをはじめ、さまざまなブランドと交流を持ち、その信頼も厚い

信頼関係の上に成り立つ盤石のコラボレーション。

レプリカではないリアルクローズとしてのミリタリーウエアを生み出すアーミーツイル。その姿勢からファッションに敏感なセレクトショップの引き合いが多い。なかでもデビューシーズンより取り扱うジャーナル スタンダード レリューム(以下JSR)との結びつきは強く、その象徴としてJSR専用の別注タグが存在するほど。

そこで旧知の仲ある両者のキーマンに「別注」というキーワードからアーミーツイルの現在地を語ってもらった。

多田 僕がブランドの窓口を含む全般をやるようになり、山口さんとも直に交流が生まれたことで別注アイテムがさらに作りやすくなったなって感じています。ブランドスタートから毎シーズン、別注オーダーをいただいているJSRさんには、正直特別な想いがあるので喜ばしいですね。

山口 こちらこそ同い歳で気楽に話せるってだけでもありがたいのに、細部まで詰めたい別注アイテムについて、楽しくフランクにアイデアを出し合いながら作れる環境に感謝しています。

多田 その別注のアイデアっていうのは、うちの展示会にいらっしゃる前から具体的にこういうの作りたいなぁ、とかイメージがあるんですか?

山口 ブランドイメージやシーズンテーマは持っていきますが、具体案はまったく。僕がアーミーツイルの展示会にお邪魔するとき、まずルックを拝見させてもらうようにしているのですが、そこには多田さんがどういうイメージをもって今季のアイテムを作ったかが詰まっているので。そのルックの印象にJSRのイメージやテーマを擦り合わせて、初めて具体的な別注案が生まれる。そんな感じですかね。それだけアーミーツイルを信頼しているってことです!

多田 ありがたいことに型からすべて作る別注をしたいってお話もいただくのですが、それはお互いのやりたいことが一致していたり、ある程度の信頼関係があったりしないと結局カタチにならない。でもこれだけ意思疎通がとれている JSRさんは逆にそういったオーダーが一切なく、僕のやりたいことを尊重していただいているなっていつも感じていました。

ジャーナル スタンダード レリューム専用のコラボレーションタグ。もともと米国百貨店の、いわゆるストア系ブランドのひとつであったアーミーツイル。その当時のタグを活かしたデザインで巧みにまとめられている

山口 多田さんは毎シーズン、アイテムを作る時にトレンドって意識しますか?

多田 あくまでもファッションウエアとして作っているからには多少なりとも意識しています。でも山口さんが立場的に流行を俯瞰しているとしたら、僕はもっと限定的ですね。

山口 そこが僕らにとってはありがたいんです。お互いが違った角度からトレンドを追い、重なりあったところを別注として表現する。これでいいと思っているんです。何度も言いますが、僕はアーミーツイルに対して全幅の信頼を置いているので、デザインから作り上げるような別注は必要がないって思っています。多田さんのやりたいことをベースに、僕らのスタイルをちょっとだけ上乗せできたらそれで僕たちのお客様には選んでいただけると確信しているので。

多田 だんだん背筋も伸びてきました()。嬉しいなぁ。

山口 あと、うちには古着を着たいってお客様が一定層いるのですが、軍モノとなるとファッションとして作られてないのでシルエットも独特だしどう合わせたらいいか分からないって方も多いです。でもその媚びない姿勢がカッコよく、憧ればかりが募る。このジレンマを解消してくれたのが、アーミーツイルだと思ってて。

多田 正直そこは意識しています。レプリカじゃなく、ファッションブランドとしてのうちの特徴でもあると思っています。

山口 本心では古着の軍モノを着たいと思っているお客様に刺さり、選ばれているっていうのは本当にスゴいこと。それはアーミーツイルが街中でのミリタリースタイルにおいて、唯一無二の存在であることを示していると思っています。

多田 いや、なんかもう正座して聞いた方がいいんじゃないかな。

山口 それは説教してるみたいになるのでやめましょ()

対談中は今季の別注アイテムを手に取り、生地やシルエットなどの話を踏まえつつ、具体的にどうしてその別注に至ったかなどといった話にも花が咲いた両者

おすすめ1.ミリタリーベスト|カラーアイテムを落とし込んだ春らしいストリートスタイル。

ミリタリーベスト1万7600円/アーミーツイル レリューム、ボーダーロングスリーブTシャツ8800円/レリューム ジーンズ、デニムカーゴパンツ1万4300円/レリューム ジーンズ、シューズ1万4300円/コンバース、キャップ4950円/ニューエラ レリューム

通常展開のカーゴパンツと同じ生地を使った別注のベスト。「パンツと一緒にセットアップで着たり、春っぽい青系のアイテムと合わせて軽やかなストリートスタイルで着たりと、振り幅広く使いやすいアイテムです」(山口)17600

ベスト以外のアイテムすべてに青系の色を取り入れたストリートスタイル。レトロボーダーでさらに色を足しつつ、オリーブが全体を引き締めている。「スポーティさが増して、シーンも性別も問わず着られる一着になりましたね」(多田)

おすすめ2.6ポケットファティーグパンツ|白パンを選んでも浮足立たないのがミリタリーの良いところ。

ニット1万8700円/カリフォルニア、ヘンリーネックTシャツ8960円/アーミーツイル レリューム、ミリタリーカーゴパンツ1万9800円/アーミーツイル レリューム、シューズ1万4300円/アディダス、ハット5500円/ニューエラ レリューム

インラインでも展開する定番カーゴパンツを白で色別注。「今季、注目のホワイトパンツを別注しました。元々スノーカモパンツなどが存在していることもあって、リアリティある仕上がりにとても満足しています」(山口)19800

トレンド感のあるざっくりと編まれたニットを主役とした着こなし。「ベージュをトーンアップするなどブランドとしても今季は明るい色に注目していた折、白いカーゴパンツを作りたいというオーダー。さすが山口さん!」(多田)

軍モノのギミックが光る新作コラボ6選。

今季、ジャーナルスタンダード レリュームが別注を掛けた別注ウエアはここでチェック! 1stシーズンからコラボする両者らしい、あうんの呼吸を感じさせるこだわりのアイテムが揃う。

1.アーミーシャツ

1stシーズンより展開されるアーミーシャツ。色とサイジングが変更されている。「アーミーツイルの看板アイテムをJSR仕様にアレンジしてもらいました」(山口)13200

2.プリントTシャツ

U.S.ネイビーのブランケットをデザインソースにしたプリントTシャツもレリューム限定。「プリントのかすれ具合でブランケット感を表現しました」(多田)5940

3.ヘンリーネックTシャツ

やや厚手のニット素材と布帛の切り返しが人気のヘンリーネックTは濃紺カラーで色別注。「ちなみに、上のおすすめ2に映っている長袖タイプはJSRだけの展開です」(山口)8690

4.メッシュシャツ

インラインのメッシュTシャツとメッシュパーカのディテールを融合した、クォータースリーブ+ラウンドカットがポイント。スミクロもレリュームの限定色。15400

5.ビッグシャツ

今季のシーズナルカラーであるペールトーンのブルーが目をひくビッグシャツ。「過去に展開されていたモデルをJSR限定で今も作ってもらっています」(山口)12980

6.開襟シャツ

定番人気の開襟シャツは色別注でサファリシャツスタイルに。「この色にすること開襟とのミスマッチ感が引き立ち、ヌケ感のある仕上がりになりました」(多田)14300

【問い合わせ】
ジャーナル スタンダード レリューム ルミネ新宿店
TEL03-5909-4675

(出典/「2nd 20235月号 Vol.194」)