“服=道具”を第一線で体現する店、高円寺の「MOGI」を訪ねてみた。

202210月に東京・高円寺にオープンした「モギ フォークアート」。80年代中期にビームスロンドンオフィスを立ち上げ、日本や北欧を中心とした世界中の手仕事と伝統文化の魅力を広めていったレジェンドバイヤーあるテリー・エリスさんと北村恵子さんが営むショップのセレクト品を紹介する。

美しさと楽しさがあって人生を豊かにするもの。

80年代中期にビームスロンドンオフィスを立ち上げ、日本が未見の海外ブランドを送り届けてきた。90年代中期以降はビームスモダンリビングやフェニカといったレーベルを発案してバイイングとディレクションを手がけ、日本や北欧を中心とした世界中の手仕事と伝統文化の魅力を広めていった。

そんなリビングレジェンドなバイヤーであるテリー・エリスさんと北村恵子さんが古巣から旅立ち、2210月に高円寺に開店したのがモギ フォークアートだ。

「エリスとふたりで『自分たちが好きなものだけを、自分たちの責任で』と考えて作り上げたのが、このお店です」(北村さん)

エリスさんと北村さんの好きなものだけを集めた店内の一部は、ロンドンで暮らしてきた自宅の雰囲気を再現

例えば、これまでふたりが蒐集してロンドンの自宅に飾っていたような世界中のディープな民藝品も置かれている。自身の店だからこそエリスさんと北村さんは、これまでより一層濃度も自由度も高いセレクトをしているように見受けられる。

壁紙は、自宅に貼られていたのと同じもの。バスルームの床の市松模様は、岐阜県多治見で焼かれたタイルで甦らせている

「僕のお気に入りは、ガーナの戦士が士気を高めるために振っていたという旗。いろいろなモチーフが手縫いのアップリケで盛り込まれいるところがチャーミング。これまで長い年月をかけて集めてきました。ユニオンジャックをあ しらっているものは、独立以前のものです」(エリスさん)

「特に思い入れのあるものを強いて挙げるとしたら、松本民芸家具のロッキングチェアですね。およそ1年をかけて長野の松本に通い詰めてデザイナーさんや職人さんたちと話し合い、英国のウィンザーチェアをベースに形から色まで別注したものです」(北村さん)

エリスさんが着ているニットは東北の蓑(みの)に見られた柄をモチーフにシェットランド島のニットウエアファクトリー、ジャミーソンズに別注したもの

服に限らず、人が想いを込めて作ったものは美しい。そこにあるだけで目を楽しませてくれる。そうした美しさ・楽しさを感受できるかどうか。感受の積み重ねにより、人生は豊かなものになる。

MOGI」で見つけた素敵なもの。

1.MOGIオリジナルエコバッグ

「ロンドンのブリクストンにあるアフリカの生地屋さんで見つけた、ガーナ独立50周年記念の柄が入った生地。 それを普段使いできるエコバッグに仕立ててみました」。5000

2福井梓 皿(23cm)

八ヶ岳南麓の山梨県北杜市で作陶している八仙窯・福井梓さんの器。「絵と書道がベースにある方で筆のタッチが実に美しいと感じます」。8800

3MOGIオリジナルスウェット

サンカの丸山剛彦さんと製作。「1956年の五輪でジャマイカ代表が着たスウェットのロゴの味わいを再現。ゆるめの裾リブがストンと落ちるシルエットです」。17600

4出西窯 土瓶

「島根の出西窯で昔から作られてきた土瓶。モギ フォークアートの定番品にしたいと考えています」。ふくよかなシルエットのなか に浮かぶ丸紋が目を惹く。17600

5.バウレ族 仮面

コートジボワール、バウレ族の仮面。災厄を鎮めるなど超自然的な力の媒介者とされる精霊だ。「土産物として作られたものではなく、実際に使われていた旧いもの」。45100

DATA
MOGI Folk Art
東京都杉並区高円寺南3-45-12 1F
TEL080-8058-1761
営業/12:0019:00
休み/火曜、水曜

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 20232月号 Vol.191」)