我々はそんなリスクのある社会に住んでいるが、テクノロジーを使うことで、その可能性を引き下げることができる。
これからガソリンスタンドってどうなるの?
ご存知のように、CO2削減、化石燃料の消費量削減などが進んでいる。すぐにすべての車両をEVや、水素自動車に切り替えることはできないが、全世界的にガソリンの使用は抑制されていく方向であることは間違いない。
1994年の6万店をピークにガソリンスタンドの数は減り続けており、現在は2万9000店を割り込んでいる。減り続けるガソリンスタンドを、今後どのように活用していくかというテーマに取り組んでいるのが、出光興産株式会社だ。
同社は、保有している全国約6200カ所のサービスステーションを次世代のモビリティ&コミュニティに関するサービスステーションとして活用しようとしている。ガソリン、水素、電気……などの、次世代モビリティのエネルギーの供給場所とすると同時に、『スマートよろずや』というコンセプトで、地域固有の課題に対して、さまざまなサービス展開を行う拠点として、サービスステーションを考えている。
その『スマートよろずや』構想の一環として、スマートスキャン社の協力を得て行っているのが『スマート脳ドック』だ。
筆者も銀座の『メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニック』で受診したことがあるが、スマート脳ドックは、格安でMRIを受けられるサービス。MRIデータをクラウド化し、受診後すぐに自分のスマホやパソコンでデータを見られると同時に、クラウド上のデータを全国の医者が診断することで、利便性の高さと低価格を実現している。
安価で便利なスマート脳ドックのシステム
このサービスを出光のサービスステーションで行おうというのが、今回の構想だ。
移動式のMRIをサービスステーション内に臨時で設置することで、全国さまざまな場所でMRIを受けられるようになる。
PCやスマホで予約できて、予約時間に現地に行けば、手続きと計測に必要とされる時間はわずか30分。価格は2万2000円(税込)と、通常のMRIの約半分。
すでに、スマート脳ドックでは、4カ所での開催で2500人が受診しているが、今回のキモは、トラック運転手にフォーカスしていること。
トラックドライバーの方に受診いただきたいワケ
実は、運送業界のドライバーは、業界別でみた脳・心臓疾患過労死がワースト1の職業。労働環境の過酷さはたびたび問題になるが、我々がコンビニや、通販での利便性を享受し続ける限り、そこに荷物を運ぶトラックドライバーへの負荷は高まっていく。
にもかかわらず、トラックドライバーのなり手は減少しており、慢性的なドライバー不足であり、それがまた労働負荷を高めている。つまり、運転中に脳梗塞で亡くなられる方が増加する背景は十分にあるのだ。
それを考えると、ガソリンスタンドに移動式のMRIを置いて、トラックドライバーの方にMRIを受けていただくのは非常に理に適っているし、促進すべき施策といえる。ドライバー個人の自助努力だけでなく、運送会社の方でも費用を負担していただきたいし、なんなら補助金が設定されてもいい事柄ではないかと思う。
写真は、相模原サービスステーションで行われたメディア説明会で取材対応いただいた方々。スマートスキャン株式会社の代表取締役・濱野斗百礼さん(左)、出光興産株式会社のデジタル・ICT推進部長・竹田正俊さん(中央)、株式会社東日本宇佐美の神奈川販売支店長・松澤宗隆さん。
最初は、「なぜガソリンスタンドで?」と疑問だったが、話を聞いてみると必然であるし、ぜひトラックドライバーの方にMRIを受診していただきたいと感じた。
8月14日まで相模原で。その後、8月17日〜8月31日まで東扇島で実施される。
誰もが、MRIを受けて、突然の脳梗塞などのリスクを低減して欲しいが、とりわけトラックドライバーの方のように、万一のことがあると大変大きな事故を引き起こす立場の人は、ぜひ受診していただきたいと思う。
(村上タクタ)
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