完売続出のシュガーケーン「スタンダードデニム」シリーズに、ついに待望の1stタイプ登場!

シュガーケーンのスタンダードデニムシリーズにおいて、意外にも初登場となる1stタイプ。多くのリクエストに応え、この秋いよいよリリース。シュガーケーンならではの細部へのこだわりを、2ndや3rdタイプとの比較も交えながら紹介する。

戦前モデルを象徴する豪華な意匠を理想まで突き詰めた逸品。

「多くの人から愛され、定番として作り続けられる名作=真のスタンダード」を生み出すべく展開されるシュガーケーンの定番シリーズ、“スタンダードデニム”。

今回紹介する新作は、いわゆる1stと呼ばれるタイプの中でも初期にあたる1936年モデルをベースにした一着だ。実は“スタンダードデニム”において、2nd、3rdタイプは定番として長らく展開され続けてきたものの、1stタイプは初めての登場となる。多くのリクエストに応える形で、待望のリリースである。

1936年モデルと言えば、使用されているボタンがデニムパンツのフライ用からトップ用に変更され、ボタンの径がひと回り大きくなった直後のモデル。シンチバックや、大戦期に省略される胸ポケットのフラップなどもまだこの頃は付いており、手間のかかる意匠を複数備えた、戦前で言えば最も豪華なモデルと言って差し支えない。

シュガーケーンならではの強いこだわりも遺憾なく発揮され、たとえば生地に関しても、未熟な紡績による7番手×7番手のムラ糸を使用した質感を再現すべく、幾度も試作が重ねられている。そうして完成した1936年モデルは、“スタンダードデニム”のシリーズ名に恥じない究極のベーシックデニムとして、今季定番への仲間入りを果たしたのである。

SUGAR CANE STANDARD DENIM|1936 MODEL DENIM BLOUSE

シュガーケーンの定番シリーズである「スタンダードデニム」に、新たに加わった1stタイプ。フロントや袖口のボタンが、デニムパンツのフライ用から、トップ用へと置き換わって間もないころの1936年モデルがベース。3万1900円(サイズ46以上はTバック仕様。3万4100円)

襟の外周はひと筆書きのステッチでぐるりと縫い付けられ、左側の襟先で二重になっていることが分かる。2ndや3rdタイプと比較して、やや小ぶりな襟も特徴。

1stタイプを象徴するディテールであるシンチバック。金属の錆びた質感にいたるまで再現するというこだわりはシュガーケーンならでは。46サイズ以上はTバック仕様となる。

ボタンとボックスステッチの高さがずれているのは戦前モデルの特徴。ボックスステッチに着目すると、向かって左は下から、右は上から縫い始められていることが分かる。

2ndタイプから廃止される、ポケット両脇に打たれたリベットが特徴。また、フラップ裏の生地は、その他の箇所のデニム生地と比べてライトオンスのものが採用されている。

袖口もフラップ同様、シングルステッチで一周縫い付けられる。カフス付けのチェーンステッチの採用は戦後から。また、地の目が横ではなく縦使いされている点も特徴。

戦後はダブルステッチで縫製されるフラップ付けが、戦前はシングルステッチで、ひと筆書きのようにして縫われている。つまり、倍以上の手間と時間がかけられている。

経糸は7番手のロープ染色インディゴ糸、緯糸は7番手の生成り糸。未熟な紡績で織られたがゆえのムラ感を再現し、より理想の生地へ近づけるべく、試作が繰り返された。

シュガーケーンの企画統括を務める福富雄一さんに1stタイプの魅力を伺った。

「シュガーケーン」企画統括・福富雄一さん|パタンナーとしての経歴を持ち、企画の統括のみならず自らサンプルを製作して改良を重ねる。ディテールからパターンに至るまでヴィンテージデニムの再現を追求する職人

「1stタイプの中でも1936年のモデルは、戦前らしい魅力が詰まった個体です。ボタンのサイズが大きくなったというのは分かりやすい特徴のひとつですが、ステッチワークにも手のかかった意匠が多く見られます。たとえば胸ポケットのフラップ付けに施されるステッチ。これは後年になると、一度に二本の針で縫い付けていくダブルステッチになるのですが、このころはまだ一本の針で縫い付けるシングルステッチです。一本の針で四角く一周して縫い付けるステッチワークのため、単純に考えて2倍以上の時間と手間がかかっているというわけです。他にもステッチを二重にして強度を持たせている箇所がいくつかあったりと、戦前の中でも最も豪華な仕様をたっぷりと備えたモデルです」

“スタンダードデニム”のシリーズにおいて、すでに定番として人気を博す2nd、3rdタイプは、継続して展開される。この3つを比較してみると、大戦を経て変化していくデニムジャケットの様相が分かって非常に興味深い。労働着からファッションへ。どのモデルもそれぞれに個性があるが、今回紹介した新作の1stタイプは「最もプリミティブ」であるという魅力的な無二性を備えていることは間違いないだろう。

Lot No. SC11936 13oz. DENIM BLOUSE|1936 MODEL

戦後も約5年間生産され続ける1stタイプだが、こちらは戦前の1936年のモデルを再現した1着。ボタンがひと回り大きくなった直後で、戦前では一番豪華な仕様を備えているとされる。未熟な紡績のムラ糸を使用した生地は荒々しい色落ちやエイジングが期待でき、濃色のインディゴと戦前らしい鮮やかなオレンジステッチのコントラストが魅力。3万1900円

※サイズ46と48はTバック仕様。3万4100円

1st, 2nd, 3rdのパターンを比較する。

写真奥側から手前に向かって、1st、2nd、3rdタイプ。それぞれのパターンの違いを比較してみよう。3つを重ねてみると一目瞭然。労働着からファッションのためのウエアとしての変化が見てとれる。3rdに向かうにつれて袖や肩の傾斜がより強くなり、ウエストも1stに比べて3rdはジャストサイズで着る必要性が高まったため、3rdの方が細身になっている。

Lot No. SC11953 14.25oz. DENIM JACKET|1953 MODEL

労働着からファッションへと移行していく過渡期に際して、1950年代に生み出された2ndタイプ。シンチバックの廃止や、胸ポケットの追加、パターンの変更など、多くの改良が施された。2万8600円

Lot No. SC12962 14.25oz. DENIM JACKET|1962 MODEL

フィット感が向上し、デザインもシャープになった、ファッション市場向けの3rdタイプ。ヴィンテージには存在しない、シュガーケーンの特別仕様として見返しの端にセルビッジを採用している。2万8600円

【問い合わせ】
シュガーケーン(東洋エンタープライズ)
TEL03-3632-2321
www.sugarcane.jp

 

この記事を書いた人
パピー高野
この記事を書いた人

パピー高野

断然革靴派

長崎県出身、シティーボーイに憧れ上京。編集部に入ってから服好き精神に火がつき、たまの散財が生きがいに。いろんなスタイルに挑戦したい雑食タイプで、ヨーロッパからアメリカものまで幅広く好む。家の近所にある大盛カレーショップの名を、あだ名として拝借。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

渋谷、銀座に続き、ブーツの聖地「スタンプタウン」が東北初の仙台にオープン!

  • 2025.10.30

時代を超えて銘品として愛されてきた堅牢なアメリカンワークブーツが一堂に会するブーツ専門店、スタンプタウンが宮城県仙台市に2025年9月20日オープン! 東北初となる仙台店は北のワークブーツ好きたちにとって待望の出店となった。 珠玉の銘品たちがココに揃う。 ブーツファンが待ち焦がれた東北エリア初となる...

“黒のコロンビア”って知ってる? オンオフ自在に着回せる、アップデートされたコロンビアの名品を紹介!

  • 2025.10.21

電車や車といった快適な空間から、暑さや寒さにさらされる屋外へ。都市生活は日々、急激な気温差や天候の変化に直面している。実はその環境こそ、自然で磨かれた「コロンビア」の技術が生きる場だ。撥水性や通気性といったアウトドア由来の機能を街に最適化し「コロンビア ブラックレーベル」は、都市生活者の毎日を快適に...

生きたレザーの表情を活かす。これまでになかった唯一無二の革ジャン、「ストラム」の流儀。

  • 2025.10.30

生きたレザーの質感にフォーカスし、“バーニングダイ”をはじめとする唯一無二のレザースタイルを提案するストラム。我流を貫き、その意思を思うがままにかき鳴らすことで、オリジナリティを磨き上げる孤高のレザーブランドだ。デザイナー桑原和生がレザーで表現するストラムのモノ作りの哲学、彼が革ジャンを通して描き出...

宮城県大崎市の名セレクトショップ「ウルフパック」が選ぶ「FINE CREEK」の銘品革ジャン4選。

  • 2025.10.31

宮城県大崎市に、ファインクリークを愛してやまない男がいる。男の名は齊藤勝良。東北にその名を轟かす名セレクトショップ、ウルフパックのオーナーだ。ファインクリーク愛が高じて、ショップの2階をレザー専用フロアにしてしまったほど。齊藤さんが愛する、ファインクリークの銘品を見ていくことにしよう。 FINE C...

進化したSchottの定番、冬のレザースタイルはこれで決まり!

  • 2025.10.30

アメリカンライダースの象徴であるSchottが、原点回帰とも言える姿勢で“本気”を見せた。伝統のディテールに、現代的な技術と素材を融合。武骨でありながらも軽快、クラシカルでありながらも新しい。進化したSchottの定番が、冬のレザースタイルを再定義する。 668US SPECIAL HORSEHID...

Pick Up おすすめ記事

【J.PRESS×2nd別注】こんなイラスト、二度と出会えない。 著名イラストレーターとのコラボスウェット。

  • 2025.10.21

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【J.PRESS×2nd】プリントスウェットシャツ【AaronChang】 アメリカにある優秀な8つの大学を総称して...

「BILTBUCK」の2025年は新素材によって既存モデルを再解釈した革ジャンに注目だ!

  • 2025.11.03

伝統と革新を往来しながら、レザーの魅力を追求するビルトバック。2025年のコレクションは、オリジナルレシピで仕立てた渾身の新素材によって既存モデルを再解釈。質感と経年変化、レザーの本質的な美学を磨き上げ、洒脱な大人たち〈Hep Cats & High Rollers〉へ贈る、進化であり深化の...

革ジャンの新機軸がここに。アメリカンでありながら細身でスタイリッシュな「FountainHead Leather」

  • 2025.10.31

群雄割拠の革ジャン業界において、カルト的な人気を誇り、独自のスタイルを貫くファウンテンヘッドレザー。アメリカンヘリテージをベースとしながらも、細身でスタイリッシュ、現代的な佇まいを見せる彼らのレザージャケットは、どこのカテゴリーにも属さない、まさに“唯我独尊”の存在感を放っている。 XI|シンプルな...

生きたレザーの表情を活かす。これまでになかった唯一無二の革ジャン、「ストラム」の流儀。

  • 2025.10.30

生きたレザーの質感にフォーカスし、“バーニングダイ”をはじめとする唯一無二のレザースタイルを提案するストラム。我流を貫き、その意思を思うがままにかき鳴らすことで、オリジナリティを磨き上げる孤高のレザーブランドだ。デザイナー桑原和生がレザーで表現するストラムのモノ作りの哲学、彼が革ジャンを通して描き出...

【Punctuation × 2nd別注】手刺繍のぬくもり感じるロングビルキャップ発売!

  • 2025.10.29

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【Punctuation × 2nd】ロングビルキャップ[トラウト] 温もりのある手仕事が特徴の帽子ブランド「パンク...