旧いモノ&ホンモノ好きが最後にたどり着く。ヴィンテージヘルメット(オフロード)の市場価値は?

オンロード用のヘルメットもあるが、ヴィンテージヘルメットも多種多様あるため、ここではオフロード用のヘルメットについて深掘りしていく。ジーンズと同じく近年はブランドが消失してしまった過去の名作のリプロダクトも盛んで、本物のヴィンテージを求めるのは一部の愛好家といったところ。それでも、世界中にコレクターが存在しているジャンルだ。

個性的なフォルムが ストリートでも映える

アメリカで戦後から盛り上がってきたモーターサイクルカルチャーは、’70年代に入りアメリカ各地で毎週レースが開催されるなどひとつのピークを迎える。また、バイクの遊び方のバリエーションも増えて、’70年代前後にはオンロードのみならず、モトクロスやダートトラックといったオフロード系のレースも新しいジャンルとして人気を博していた。

そんなブームに応えるべくベルの「BELL MOTO」シリーズを中心にシンプソン、さらには日本のショウエイやマルシン工業といったメーカーなど多数のメーカーが参入し、ひとつのカテゴリとしての地位を確立させてきた。

オフロード系のヘルメットの魅力といえば、転倒時に顎を守るチンガードや泥除けのためのバイザーといった個性的なルックス。特に’70~’80年代のモデルは現行モデルに比べるといかにもレトロな雰囲気で、モトクロス系バイクのみならず、ハーレーやストリート系バイクにもよく似合う。

これまで特にブームはないものの他のアイテム同様、数は減少傾向で価格は高騰傾向。歴史的モデルとなると10万円オーバーもザラだが、数万円でも入手可能。基本的に値が落ちにくいので、コレクションにおひとついかが?

BELL。元々四輪用のパーツメーカーだったが1954年にヘルメット部門を設立。500-TXをはじめ多数の歴史的名作を生み出す。’70年代にはオフロード系となる「BELL MOTO」シリーズを手がけるなどオフロード系の最重要ブランド
SIMPSON。1959年創業。ヘルメット製造は1979年から。元々レース用アクセサリーメーカーだったことからそのスキルを活かしたハイエンド志向で、ベルの倍近い価格の高級ブランドだった。映画『MAD MAX』のモデルともなるなどオフロードモデルには定評がある
オフロード系ではベルとシンプソンが人気だが、他にも「GRIFFIN(グリフィン)」、「GRANT(グラント)」、「MAXON(マクソン)」といったアメリカンブランドのみならず、日本の「MARUSHIN(マルシン)」というブランドも手がけている

市場価格を知る!

世界中にコレクターが存在し、ヒストリカルもしくはエポックメイキング的な人気モデルは年々高騰する一方。またリペアしてあるかどうかで価格は大きく異なるが、1970~’80年代の状態のいいものだと2~3万円から上は10数万円といったところだろう。

1970年代 BELL MOTO STAR

1975年に発売されたオフロード系フルフェイスヘルメットの元祖的存在。映画『On Any Sunday』でブルース・ブラウンが愛用したのもコチラ。ヴィンテージベルのなかでも圧倒的にレアなモデル。キズもほどんとなく、額と後頭部の純正デカールも残る美品。内装リペア済みなので着用も可能。本物にこだわる人のためのコレクターズアイテム。実寸サイズ:60㎝前後。18万7000円

1979年 BELL MOTO3

MOTO STARの後継モデル「MOTO3」初期モデルのなかでも赤や黄色よりも圧倒的に数が少ない青色というレアモデル。横につくデカール文字は黄色。この青のみ初期型と後期型でデカールの色が異なるという特徴を持つ(後期モデルは白色)。内装リペア済み。実寸サイズ:58㎝前後。15万1800円

1979年 BELL MOTO3

MOTO STARの後継モデルとして1979~82年製造された「MOTO3」。こちらは初期生産モデルで後期モデルよりも帽体が小さく、被った時のシルエットがスッキリ見える。外装に多少キズはあるものの純正デカールも残っている。内装リペア済み。実寸サイズ:60㎝前後。11万円

1970年代 SIMPSON M50

1970年代に作られたシンプソン「Model 50」。バンデッドシリーズと呼ばれ、マッドマックスのチンガードのルーツになったモデルとして有名。赤や黄色は比較的出回るが、オレンジは圧倒的にレア。傷も少ない美品。内装リペア済み。実寸サイズ:60㎝前後。11万8800円

1980年代 BELL MOTO3 HONDALINE

1979~82年に製造されていたBELL「MOTO3」の後期モデル。ホンダラインシグニチャーというレアモデル。ホンダの当時のワークスカラーであるトリコロールカラーが美しい。後頭部には「HONDALINE」と描かれたデカールも残っている。ホンダ乗りにオススメ! 内装リペア済み。実寸サイズ:58㎝前後。14万800円

1980年代 BELL MOTO4

MOTO3の後継モデルとして1982年から製造された「MOTO4」。多少デカールが剥げていたり、小傷はあるものの欠損しがちな純正バイザーも残る美品。少しくすんだターコイズブルーと白というカラーリングもオシャレ。実寸サイズ:59㎝前後。8万300円

1980年代 SIMPSON M52

1980年代製造のModel50の後継モデル「Model52」。チンガード部分の先端が平らだった前作に比べてチンガード部分の先端が鋭利なシルエットになっている。ヴィンテージシンプソンのなかでもなかなかお目にかかれないレアモデル。内装リペア済み。実寸サイズ:58㎝。7万3700円

1980年代 Marushin MG-MOTO

1962年に創業した日本のヘルメットメーカー「MARUSIHIN」が1980年代に輸出用に作っていたと思われるMG-MOTO。チンガードの部分の鋭角的なデザインが特徴。ベルやシンプソンではない、個性的なオフロード系をお求めの方に。内装リペア済み。実寸サイズ:59㎝。4万9500円

1980年代 SIMPSON M50

1980年代初頭より製造されていた「Model 50」。赤や黄色が定番だがオレンジと同様、黒はかなり希少。同モデルはバンデッドシリーズと呼ばれマッドマックスのチンガードのルーツになったモデルで、当時の販売価格はBELLのMOTO3の倍近いという高額なヘルメットだった。額部のデカールもオリジナル。内装リペア済み。実寸サイズ:60㎝前後。11万円

1970年代 Unknown

メーカーやモデル名など詳しいことは不明だが、塗装やグラフィックのテイストから1970年代と推定。オレンジの美しいコントラストとオンロード風の丸みのあるデザインに加えて何といってもオフロード系には珍しくグラフィックが特徴的。定番では物足りない人に。内装リペア済み。実寸サイズ:59㎝前後。4万700円

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning 2024年9月号 Vol.365」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

Pick Up おすすめ記事

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...