専門店が勧めるラフに使えるゴールドウォッチ。ECW SHOTO編

高騰が止まらない金相場の影響もあってか、金無垢、コンビモデルが盛り上がっている。一昔前までは派手で成金的なイメージが強い部分もあったが、近年は海外のストリートシーンなどでも支持され、人気が高まっている。そんなゴールドウォッチについて、ヴィンテージクロージングとアンティークウォッチを取り扱う「ECW SHOTO」のオーナー、江口大介さんに訊いてきた。

大人になったからこそ似合うのが金無垢時計の魅力だと思います。

「ECW SHOTO」オーナー・江口大介さん|1980年生まれ。東京都出身。シルバー職人などを経て、2017年に吉祥寺で江口洋品店・江口時計店をオープン。今年には渋谷の松濤へ移転リニューアルオープンした

ヴィンテージクロージングとアンティークウォッチを組み合わせた江口洋品店・江口時計店を17年に吉祥寺でオープンした江口さん。今年となって渋谷区松濤に移転し、ECW松濤としてリニューアルオープンした。

個体のオリジナリティを大切にしつつも、市場の人気やネームバリューなどに左右されず、ファッション的な視点で厳選されたアンティークウォッチのラインナップは、実に個性的。近年のアンティークカルティエの盛り上がりは、同社が仕掛けたと言っても過言ではないだろう。ファッション業界人がこぞって来店する理由は、そんなセンスの良さにある。金無垢またはコンビのドレスウォッチを得意とする江口さんに、その魅力を聞いた。

「金無垢やコンビの時計は、プロダクトとして非常に美しいのですが、合わせにくいイメージがあるかもしれません。実はそんなことは全然なくて、金無垢のドレスウォッチならフォーマルは言うまでもなく、今のトレンド的にカジュアルにTシャツなんかで合わせてもサマになると思います。

金無垢は成金であったり、バブルなイメージを抱きがちですが、それは年齢も大きく関係すると思います。例えば、同じ時計を20代と40代がしても印象がまったく変わります。いい意味で枯れた感じの出てきた年代になってから、より似合うものだと思いますね」

松濤への移転をきっかけに、屋号を江口洋品店・江口時計店からECW SHOTOへとリブランディングした。まるでギャラリーのような空間には、贅沢に時計がディスプレイされている。店内には時計工房も併設されており、アフターケアも充実しているのだ
渋谷駅から徒歩圏内にあるECW SHOTOは、1階と2階で構成されている。1階はよりラグジュアリーな時計が並んでいる
2階は吉祥寺の旧店舗を彷彿とさせるラインナップ。奥にはメゾン系の希少なヴィンテージクロージングも並んでおり、時計だけでなく、隈なくチェックしたいところだ

ブレスレットのような感覚で身に着けたい金無垢時計の魅力。

1980s ROLEX Cellini Ref.4350

ロレックスのドレスウォッチの中でも、もっともエレガントな立ち位置にあるチェリーニは、近年人気が高まっている注目モデルのひとつ。あえてロレックスの三大発明のひとつであるオイスターケースを使っていないため、ケースデザインにも様々なバリエーションが存在する。サービスギャランティ付きの優良個体。ASK

バックルがなく、ブレスと一体化した留め具となっている。こういった部分もドレッシーな雰囲気を増すことに一役買っているのだ。

1951 ROLEX BUBBLE BACK Ref.6065

人気が再燃しているバブルバックは、コレクターでも把握できないほど、様々なバリエーションが存在。このコンビモデルは、フーデッドカバーケースが特徴で、さらに飾りの入った珍しい仕様。通称フーデッドバブルバックとも呼ばれ、コレクターズアイテム。327万8000円

1999 ROLEX Cellini Ref.4135

チェリーニの中ではスタンダードなデザイン。アップライトのロゴなど、非常にクラシックな装いであるが、これで1999年製というから驚き。ロレックスの中でも群を抜いたエレガントな時計をあえてカジュアルに。76万7800円

1980s ROLEX Cellini Ref.4017

エルビス・プレスリーが愛用していたことでも知られる左右非対称なケースデザインが目を引くチェリーニ。巨匠ジェラルド・ジェンタによるデザインで、通称キングマイダスと呼ばれるスペシャルなモデル。107万8000円

1970s Cartier Pre Must Tank Stepped Rectangular Ref.15

カルティエの大ヒット作であるマストドゥカルティエの前身となった希少なモデル。エレガントなステップドケースと漆黒のオニキスダイヤルが美しく調和されている。ケースはキャップゴールドとなる。手巻き。173万8000円

1987 Cartier Panthere De Cartier Ref.83957

2017年に復刻されたことでも知られるカルティエの名作。通称ジャンボとも呼ばれるメンズサイズのパンテールで、あえて丸みをもたせた美しいラインが特徴。ベルにはマイヨンパンテールを装備している。76万7800円

1992 Patek Philippe Calatrava Ref.3919J

’90年代のパテックフィリップを象徴するモデルのひとつであるRef.3919。パリの石畳をモチーフとしたクル・ド・パリと呼ばれる模様装飾が施されたベゼルに、純白のポーセリンダイヤルは、まさにドレスの最高峰。217万8000円

1963 ROLEX Thunderbird Ref.1625

ロレックスを代表するデイトジャストの中でも、特殊な立ち位置となるサンダーバード。米国空軍のアサンダーバーズの大佐へと贈られたゴールドの両回転ベゼルの特別仕様がルーツ。針と文字盤はメーカー交換。96万8000円

1980s Audemars Piguet Royal Oak Ref.15000BA

現行モデルでも絶大な支持を得ているラグジュアリースポーツの代名詞であるロイヤルオーク。当個体は34ミリという小振りなミディアムサイズで、流通量が少ない希少な仕様。ダイヤモンドインデックスで豪華だ。ASK

【DATA】
ECW SHOTO
東京都渋谷区松濤1-28-6 VORT渋谷松濤residence
TEL03-5422-3070
営業/11:00~19:00
休み/火曜定
https://eguchi-store.jp

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning 2024年8月号 Vol.364」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

Pick Up おすすめ記事

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...