不思議な茎を持つ冬型塊根、モンソニア・ムルチフィダ。

その奇妙で愛らしいフォルムやインテリアとしても存在感があることから、塊根植物の愛好家は急増中。そんな塊根植物の魅力にずいぶん前から傾倒し、自身のセレクトショップを立ち上げたときに、趣味が高じて塊根植物も販売し始めてしまったというオーナーが、すでに塊根植物の「沼」にハマッてしまった人や、初心者で塊根植物を育ててみたいと思っている人にもやさしくお届け!

今回は塊根植物のなかでも冬型に分類されるこれまた奇妙な種を紹介する。

ソーセージのような塊茎がなんとも奇妙。

秋から春にかけての涼しい季節に成長する冬型塊根。その冬型塊根のなかでも、独特な樹形で存在感を放つのがモンソニア属の植物たちです。

今回ご紹介するのは、モンソニア属の中でも代表的な品種である「モンソニア・ムルチフィダ」。

自生地は南アフリカとナミビアの国境を流れるオレンジ川の支流である、ガリープ川流域の乾燥地帯です。

かつては「サルコカウロン・ムルチフィズム」と呼ばれていましたが、現在はサルコカウロン属がモンソニア属に統合されたことにより、モンソニア・ムルチフィダとなっています。

現地では「ブッシュマンの蝋燭」とも呼ばれる。

ソーセージの様な塊茎(かいけい)が特徴的なモンソニア・ムルチフィダは、雨もほとんど降らないような極度の乾燥地帯に自生しています。

そのような環境下でも乾燥から身を守れるように、塊茎には蝋質の樹脂を多く含んでいるため、モンソニア属の植物は非常に良く燃えるそうです。

実際に現地の先住民が焚火やたいまつなど燃料として用いることから、現地や英語圏では「ブッシュマンの蝋燭(ろうそく)」とも呼ばれています。

稀少な植物であるモンソニアが燃料として燃えていく姿は、なかなかイメージしにくいのですが……

生育期には繊細で美しい葉を伸ばします。

ソーセージのような塊茎も特徴的ですが、生育期に伸びる微毛の生えた美しい葉も魅力です。

現在の小種名はムルチフィダですが、サルコカウロン属のころのムルチフィズムという名はラテン語で(多く裂けた)といった意味を持ち、この細かく分かれた葉の形状に由来しているようです。

海藻やパセリなどにも例えられる特徴的な葉の形ですが、個人的にはニンジンの葉にも似ているように思います。

現地球の発根は、やや難しい面も。

現地球と呼ばれる現地に自生していた個体は、根が切られた状態で輸入されるため、輸入後は、新たに根が出るまで発根管理をする必要があります。

採取されてから輸入までの管理状態にも左右されますが、モンソニアの発根はやや難しい面もあります。

決してモンソニアに限ったことではないのですが、なかなか株の調子が上がらないまま発根できず、そのまま徐々に枯れてしまうケースも見受けられます。

非常に魅力的な姿で欲求を刺激するモンソニア・ムルチフィダですが、長く育成を楽しむうえでは、既に発根済みで元気に育っている個体を入手するのがお勧めです。

参考上代 37400

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