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マイナンバーカードって何?

デジタル庁で、マイナンバー制度、マイナンバーカードについての一般メディア向けの説明会があったので参加してきた。デジタル庁としては、これまで新聞、テレビなどには情報発信を行ってきたが、我々のような一般メディアとのコネクションがなかったから、新たに関係性を構築していこう……ということらしい。

筆者は理解していなかったが、けっこう普及しているらしい

さて、みなさんはマイナンバーカードに関して、よく理解してらっしゃるだろうか?

筆者は恥ずかしながら、よく理解していなかった。

デジタル専門メディアでありながら、行政関係のことは、『なんとなく面倒くさい』し、『なんとなく避けて通りたい』と思っていた。

デジタルに詳しいはずの筆者でさえこの始末。しかし、全国民が関係することになるシステムなのだから、筆者よりもっと『デジタルが苦手、関わりたくない』という人もいるだろう。高齢者の方も、子供もいるだろうから、普及させるのはなかなか難しそうだ。

と思っていたら、普及率のデータを見せてもらうと、案外普及している。マイナンバーカードは78.8%の普及率。健康保険証としての利用登録が73.8%(よく見ると、これはマイナンバーカードを持ってる人の中での普及率なので、全体からいえば58.2%)、公金受取口座の登録は64.4%(同じく50.7%)。高齢者の方や、子供も含むわけだから、筆者が思っているより、普及している。

デジタル専門メディアの編集者である筆者が知らないのも恥ずかしいので、いろいろと質問してきた。

『わからない』『不安』『信用できない』

自分を振り返って考えてみても、マイナンバーカードに及び腰になるのにはいくつかの原因があると思う。

ひとつに『わからない』。過去にもいろいろと情報発信がされてきているのだと思う。しかし、詳しい人から、筆者のように全然わかっていない人まで、いろんな国民がいるのだから、情報発信のレベル設定もさまざまで、それがかならず読者のレベルに合うとは限らず、結果筆者のように『よくわからない』という感想に繋がってるのではないだろうか?

つぎに『不安』。仕組みがわからないとなんとなく不安。『国民総背番号制』というネガティブな呼称に象徴されるように、漠然とした管理主義的イメージに不安を感じる。『華氏451』のような管理主義的社会に対する不安を感じるというわけだ。ちょっとした交通違反の記録がずっと残って参照されるのではないか? 節税……のようなグレーな工夫が、明るみに出ちゃうんじゃないか? というような、人だと融通が効いていた部分が完全にシステマチックになってしまうのではないかという不安もあるだろう。

最後に『信用できない』。議員さんたちがパーティ券売って裏金確保しているニュースがあふれる横で、我々国民は番号で管理されると言われてもねぇ……という気持ちもわからなくはない。また、3大メガバンクの一角を占めるような銀行が、いつまでたってもシステムトラブルから逃れられなかったり、大企業とて情報漏洩事件をたびたび起こしている中で、『政府のシステムは大丈夫』と言われても、安心感があるとは思えない。

ただ、今日、説明を聞いてみて、思い込みや、誤解、無理解というのも多分にあるな……とは思った。

膨大な書類仕事の無駄は省いて欲しいから

というわけで、無知だった筆者が今日、お勉強したことについてお話しよう。

実は、これ以外にも、『マイナンバーにはこんな機能がある』『こんなメリットがある』というお話もいっぱいうかがったのだが、ともかく基本の『き』の話だけお話ししよう。読者諸賢に筆者のような方は少ないかもしれないが、中には筆者レベルの人もいるかもしれないし、そういう方のお役に立てればそれでいいと思うので。

だいたい、これだけテクノロジーが好きなんだから、IT化で大きなメリットがあることは知っている。いろんな手続きも簡単になるだろうし、効率化は進むはずだ。なのに、なんとなく後ろ向きなのは、理解していなかったのだと思う。

『マイナンバー』『マイナンバーカード』って、突き詰めると何?

まず、マイナンバーとは何か?

これは、日本国内のすべての人に振られている12ケタの番号だ。

好むと好まないとに限らず、すでに割り振られているのだ。出生届を出して住民登録が完了した時点で発行されるのだという。

マイナンバーカードは、この番号の持ち主であることを証明するカードだということだ。

特徴的なのは、オンラインとオフライン、両方で運用が可能だということだ。

たとえば、免許証やパスポートだと、顔写真で本人認証はできるが、その免許証やパスポートが本物なのかどうかは証明できない。仮にコピーなどを駆使して、偽造免許証が作られていたとして、一般の店舗などでは質感などでしか判断できないということになる。

しかし、マイナンバーカードであれば、リーダーがあれば電子的に本物であることが証明できる。

そして、顔、もしくは暗証番号のどちらかを使えば、二要素認証できるというわけだ。

これを、オンラインとオフラインで活用できる。

たとえば、店頭で本人がマイナンバーカードをリーダーに読ませて、顔を見せるか、暗証番号を入れることで本人だということを証明できる。

逆にオンラインで、スマホのNFCにマイナンバーカードを読ませて、顔を見せるか、暗証番号を入れることでも本人だということを証明できる。

突き詰めると、マイナンバーカードは、デジタルとアナログで本人であるということを認証するだけのカードだということだ。

マイナンバーカードには、たいした情報は載っていない

従来、筆者は「なんとなく個人情報が載っているんだろう」と思っていたが、実はほとんどマイナンバーと暗号キーが載ってるだけだということだ。

私の理解としては、こう。

これだけだ。

厳密にいうと、氏名、住所、生年月日、性別の4情報と、顔写真も入ってる。あと空き領域の利用の条件などもあるようだが、まぁ、あまり意識する必要はないと思う。地方税関係情報や年金給付関係情報などの情報はここには入っていない。

つまり、このカードは『マインナンバー123456789XXXの村上タクタ』であることを証明するだけで、たとえば『マインナンバー123456789XXXの村上タクタ』の健康保険証関係の情報はそちらのシステムに保管されているし、住民票関係の情報は地方自治体に保存されているということなのだ。

カードにはマイナンバーの番号しか入っていないし、顔か暗証番号で、認証されない限り、それはただの番号でしかないというワケだ。

マイナンバーが他人に知られても、それほどマズいものではない

ちなみに「番号が他の人に知られると、マズいのですか?」と聞いたところ、(非公式な現場でのやりとりですが)「それほどマズいものではない」ということだった。

つまり、顔か暗証番号で認証されない限り、番号だけでは何ができるワケでもないということだ。

マイナンバーカードを最初受け取った時に、番号を隠すフィルムのケースに入れて渡されたので、「これは秘密にしないといけないのだ」と思っていたが、別にそういうものではないらしい。

「クレジットカードも番号だけでは、使えないでしょう? あれと同じです」

なるほど。セキュリティコードがないと使えない。かといって、クレジットカード番号も、おおっぴらに知らせるものではない。あれと同じということだ。逆に、マイナンバーと、暗証番号を一緒に置いておくのは絶対だめ。できれば、暗証番号は記憶の中だけに留めておきたいものだ。

これから、便利になるのだったら活用しよう

筆者は自分の番号が入っているのだから……と思って自宅に大事に収納していたのだが、番号が入ってるだけなら、普段身に着けて活用した方がいいのだろうか?

「たとえば、デジタル庁の職員は入館証もマイナンバーカードを活用しています。個人を特定できるのですから一番確実です。たとえ、紛失したとしても再発行が可能ですし、番号が悪用される可能性がある時は番号の変更も可能な仕組みになっています。」

実際、活用事例としては「マイナンバーカードをタッチするとドリンク1本無料」という形で年齢確認、2度取り防止などを行ったり、オンライン購入時にマイナンバーで認証することで、チケットの代わりにマイナンバーだけで入場……というような例も出ているのだから、方向性としては持ち歩くのが一般的になるだろう。

また、マイナポータルの機能として、マイナンバーカードの認証でお薬手帳の薬剤情報を保持できるようにもなるので、たとえば大規模災害に見舞われても、マイナンバーカードがあれば、いつも処方されている薬がわかる……というような運用も可能なのだそうだ。

今後、マイナンバーカードをスマホ側に読み込むこともできるようになるとのこと(現在のところiPhoneは非対応)。スマホの生体認証(たとえば、iPhoneのFace IDやTouch IDなどを通過してれば、暗証番号の入力やマイナンバーカードの顔認証は不要になるとのことなので、そうなるとカードを持ち歩かなくても、スマホでマイナンバーカード機能が使えるようになる。そうなれば、たしかに持ち歩かなくてもスマホで対応できる。

もちろん、筆者が理解していないリスクもあるのかもしれないし、分かってない部分はまだまだあるのだろうけれど、マイナンバーカードは単に「デジタルとアナログで、本人性を証明するカード」だということが分かって、かなりいろんな不安感や不信感が消えた。

これから筆者も、日々持ち歩いて、活用していこうと思う。

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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