クロコダイルを藍染に。これぞ日本の技術で実現できた至極の財布。

藍染めはとても難易度が高い染色である。それが、クロコダイル革だとしたらなおさら。原皮によっても染料の染み込み具合は異なるし気温や湿度にも色味が左右される。しかしクロコダイルと向き合い続けて80年の池田工芸が手掛ける、藍に染まったクロコダイルの斑模様は光の加減でさまざまな輝きを見せてくれる。

デニム好きのためのウォレット。幻のクロコダイルポロサスの上質感を堪能。

この写真は照明の光であえて撮影した。同じ個体でもこれほどまでに違った色に見えるのも藍染めクロコダイルの魅力

池田工芸は創業から80年に及ぶ長い年月、ひたすらにクロコダイルと向き合ってきた。昨今、クロコダイルレザーはメゾンブランドからの需要が高く、上質なものは供給が足りていない。使用しているポロサスはクロコダイル種の中でも特に珍重されている最高級種。メゾンブランドがポロサスの老舗養殖場までも子会社化し、独占を試みたことで、ほとんど流通しない革となっている。

しかし、この道80年の池田工芸は、老舗養殖場のポロサスをメゾンブランドと共有し合うことに成功した。最上級のクロコダイルには、難易度の高い天然藍染色を施し、誰も真似のできないクオリティに辿り着いた。究極のクロコダイルウォレットを名乗るのに十分なスペックを備えた。

斑と呼ばれるクロコダイル特有のウロコ模様とその間の溝となるメジの白さにまでこだわっっている。使い込むことでレリーフ状の斑は擦れて光沢を増す。まるでインディゴブルーのデニムのように、使い込むことで表情は完成されていく。

当たる光によっても異なる表情を見せてくれるのも特徴。直射日光では鮮やかなブルーに見えるが、室内の光にはより深みのある藍色となる。

フランスから輸入されたクロコダイルを日本で藍染めした一枚革ビッグウォレット。

“Denim” Crocodile Walletと名付けられた藍染めのクロコダイルウォレット。使用している原皮はフランスから輸入されたポロサス。日本で一枚一枚天然藍で染めていく工程は他の染色とは異なる。一枚革で包み込むように作るため大判の革が必要。老舗クロコダイル製品専門メーカーが技術と経験を結集して作り上げた究極のクロコダイルウォレットなのだ。253,000円

内装の充実も池田工芸のこだわり。100枚の紙幣、18枚のカード収納、さらにコインポケットと収容量は抜群。ファスナー開閉なので安心感も高い。ウォレットの機能性は申し分ない。

内装にはブラックの牛革とパイソンを使用。縁起物としても知られる蛇革をあしらう事で、夢と希望が膨らみ、やがてはウォレットも膨らむと信じて使いたい。

創業80年の池田工芸。確かなものづくりの証となる刻印は、内装に控えめに。内側のクロコダイル部分は、擦れにくい場所が選ばれ、表の経年変化を常に確認できる。

【DATA】
池田工芸
https://www.ikedakohgei.jp/

※情報は取材当時のものです。

(出典/「CLUTCH2023年11月号 Vol.93」)

この記事を書いた人
CLUTCH Magazine 編集部
この記事を書いた人

CLUTCH Magazine 編集部

世界基準のカルチャーマガジン

日本と世界の架け橋として、国外での販路ももつスタイルカルチャーマガジン。本当に価値のあるモノ、海外記事を世界中から集めた、世界基準の魅力的コンテンツをお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

Pick Up おすすめ記事

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...